メトロノームの沈黙

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外へ出るといつもの様に日差しは出ておらず灰色の雲に覆われていた。天気予報は雨なのか、はたまた雨なのかわからない。そのまま傘も持たずに会社へと足を運ぶ。

会社に着くと一番乗りだったらしく、学生の頃は一番乗りだと嬉しかったなと少し複雑な気になりながらもデスクへと向かう。終わらないとわかりつつも資料へと手を伸ばしパソコンに入力していく。お昼の時間になっても軽食を口にしてすぐに仕事に戻る。いつも通りの日常。定時で帰れるわけもなく当たり前に残業をしてスイッチが切れた時いつも帰る支度をする。

ただ、今日は、今日だけは少し違った。

そうだ、てつやからの連絡を見なければいけない。朝のように目を背けてはいけないと思い見たくない気持ちを押し殺しそっと携帯の画面を付ける。長い長い文を一字一句逃さぬように大切に読む。今のこの現状に耐えられないと、こんなにも好きなのにまるで他人かのような生活を続けたくないと。決して別れようとは書いてないものの内容はそう捉えていいようなものだった。返事を書くと時間がかかりそうだったので携帯を鞄にしまい、パソコンの電源を切る。窓から外を除けばあいにくの雨で、傘持ってくればよかったなど思っているとチラリと、オレンジ色が目に入った。


「て、つや…？」


雑にスーツの上着と鞄を持ちがむしゃらに走った。




ほら、やっぱり今日はダメな日だ。

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