23 てつやside ページ25
煙草吸ってくる、そう一言だけ俺に伝えるとするりと腕の中から離れていく。この一瞬でさえも触れていたい。換気扇の下で煙草を吸うみゆの目を細める先には一体何が見えているんだろう。仕事や友達、家族、趣味、そんな中で俺は一体どう見えてどう感じているのかたまに心配になってしまう。てつやだけ、といつも言ってくれているのに、言葉とは信頼のように紙一重である。受け取り方によっては幸と出るか、否か。別に信頼していないわけではない。していないわけではないのに不安になる。
そっとソファーから身体を離しみゆが居る換気扇へと足を進める。後ろから優しく抱き締め首筋に顔を埋める。
「今、何考えとる？」
「いきなりどうしたの？」
優しく、ふわりとした声で笑う。顔を見なくたってわかる、みゆは優しいからきっと口から煙草を離し目を伏せて笑っている。
「いいから答えて」
俺の腕を解き向かい合う、目を隠している前髪からこっそりと見える長い睫毛が妙にもどかしい。ゆっくりと目を開くとやはり今日も空まで届きそうな睫毛をしていた。触れたくても、触れられないもの。
睫毛の行く先と、みゆの行く先はどこなのだろう。同じ場所なのか、そうでないのか。
「この世にある全てのモノよりも、好きな人が居るの。」
「優しくてかっこよくて面白くて、ちょっぴりドジだけど頼り甲斐がある人。いつまでも子供心を忘れずに、友達想いで、わたしの大好きな人。」
「てつやのこと好きだなって考えてた。」
みゆが手に持っていた煙草の灰は床にポトリと静かに落ちた。水道の蛇口からピチャリ、と一滴と二滴と滴る音がやけに不気味だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さこ(プロフ) - おはようございます☆楽しく拝見させていただきました///続きがとっても気になるので、お時間出来ましたら更新していただけると喜びますデス☆ (2017年8月15日 7時) (
レス) id: 8ba320eacd (このIDを非表示/違反報告)
みえはる(プロフ) - ボンさん» ボンさんはじめまして！コメントありがとうございます〜〜（ ; ; ）すごく趣味丸出しな重たいお話しですが今後もよろしくお願いします(>_>)！ (2017年6月8日 17時) (レス) id: f1cb80f517 (このIDを非表示/違反報告)
ボン(プロフ) - はじめまして！てつやがメインの話あまりないのでこの小説で欲望を満たしてます(笑)重たくて両片思いみたいな主人公とてつやが大好きです〜ぜひ幸せになってほしい！(笑)毎日楽しみにしております。のんびり頑張ってください〜！陰ながら応援してます (2017年6月8日 6時) (レス) id: bb3c19423a (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮心音(プロフ) - みえはるさん» いえいえ！最近オリジナルフラグを二次創作なのに外してない作品が多いので、できたら声かけお願いします(^o^)他のユーザーさんもやってますし(^o^) (2017年6月6日 15時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
みえはる(プロフ) - 雨ノ宮心音さん» すいません、先ほど外してきました！ありがとうございます！ (2017年6月6日 9時) (レス) id: f1cb80f517 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みえはる | 作成日時：2017年4月9日 3時
