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カン、カンッ！
カン、カンッ！
カンカンカンカンカンッ！
プライドは木で壁を掘っていた
「無理だよ
父さんが子供の力でどうにかなる
造りにしているとは思えない」
「......」
その言葉で諦めたのか歩き出すプライド
「あんまり人間のことバカにするから
こういう目に合うんだ
お前たちは僕ら人間のことは何も
分かっちゃいない
なんでも思い通りになると思わないほうがいい
例の計画だって
ボクからしたら杜撰(ずさん)そのものだ」
「杜撰...？」
プライドは地面に座って、地面に落ちている
アルの頭に手を触れた
「あぁ
人柱とか言って
何かをしようとしているみたいだけど
もしボクたちが自分の身、可愛さに
国外逃亡でもしたら
その時点でお前たちの計画はおじゃんだったんだ」
プライドはアルの頭を抱える
「確かに
人間の中には自分さえよければという
考えの者もいますね
けれども...そう、例えばラースの妻
以前、街中私が車に
ひかれかけたことがあったのですが
その時、あれは身を呈して
私を助けようとしたのです
私がホムンクルスであることを知らないとはいえ
あの必死さには思わず面喰ってしまいました
私には父上はいたけれど、
母というものは存在しませんでしたから
正直、あれの存在は興味深かった...
母親とはこういうものなのかと」
「ラースの妻...
ブラッドレイ婦人のことだよね」
「そうですよ」
ガシャン...
アルの頭を地面に置いて
先程使っていた木を手に持った
「あんないい人を騙すなんて...」
「確かに
家族ごっこではありました...」
カンッ！
木でアルの頭を叩く
「けれど、
あれとの生活は楽しかったですし
好きでしたよ」
「！！
じゃあ...」
「人間には、ラースの妻のように
大事なものを守るためには
己の命すら投げ出す者がいる」
カンッ！
「ましてや、人柱として選ばれた君たちは
その人間の中でも
より強靭な心を持っています
この国を捨てて、逃げられるはずが無い...
現に君は、ここへ戦いに戻って来た」
カンッ！
「我々の計画には
ずさんなどありえないのです」
カンッ！
プライドがアルの頭を叩く音だけが
ドーム状の暗い闇の中に響き渡った
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