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夜の大総統の自宅へリザが訪問した
「夜分に失礼いたします
閣下に急ぎの書類を届に参りました」
「あらま
ごめんなさい、あの人今
出かけているのよ」
「明日までに目を通して頂きたいのですが...」
リザはご婦人に書類を手渡した
「明日までね
分かりました、お預かりします」
「では
よろしくお願...
...っ!!?」
ザワッ!
リザが後ろに気配を感じ、すぐさま振り返ると
そこにはセリムがいた
「セリム
まだ起きていたの?」
「はい
玄関の音がしたから
お父さんが帰ってきたのかと」
「この方はホークアイ中尉よ」
リザはなんだか表情が硬かった
「こんばんは、ホークアイさん」
「初めまして」
「こんな時間まで
お仕事なんですか?」
「はい
閣下に書類を届けに参りました
お休みの所、起こしてしまって
申し訳ありません」
リザは礼をした
「さぁ
セリム様、お休みになられないと
明日寝坊してしまいますよ」
執事がやってきた
「はい」
セリムと執事は会釈して部屋に戻っていった
「聡明なご子息ですね」
「うふふ
そうでしょう?
自慢の息子よ
実の子なら親バカと言われるけど
養子だから遠慮なく自慢できるの」
リザは微笑ましく見ていた
しかし次のご婦人の言葉で一変する
「まぁ、ブラッドレイの遠縁の子だから
出来がいいのは
あの人の血筋なのかもしれないわね」
「え...っ
奥様の遠縁では...?」
「いいえ」
「...!」
その後、リザは大総統府の
渡り廊下を歩きながら考えていた
「(大佐の話によるとキング・ブラッドレイは
幼少の頃から実験体として育てられ
天蓋孤独の身
親戚など一人もいない
それに、さっきのあの感覚...あの子は...!)」
「気付いちゃいました?」
「!!」
どこからか声が聞こえた
リザはすぐさま足を止める
「困りましたね...
ウチのお母さん、お喋りが好きで」
「さっき
一瞬奇妙な殺気を感じました
以前にもどこかで...けれど
はっきりと思い出しました
グラトニーというホムンクルスに
背後を取られたときの感覚です
セリム・ブラッドレイ...
あなたは一体何者ですか?」
後ろの影には、リザの言う通り
セリムが立っていた
「この状況で
私の正体を聞くとは
たいした度胸ですね
ホークアイ中尉」
リザの顔から嫌な汗が流れる
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