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「ひとつ忠告しておく
映画や小説でよくあるパターンだ
戦場で恋人の話を持ち出した奴は」




ロイは指で銃のマネをしてみせる




「すぐ死ぬ」




「お前なぁ...」




イカリマークを浮かべるヒューズであった




しかしグレイシアの手紙にめを移すと




ヒューズの表情が少し緩くなった





「これで
明日まで生きていけるんだ」




「ん?」




「この手紙だけが
明日を夢見させてくれるんだよ
いつ終わるとも知れない
この戦場で...」




「まさに出口の見えない戦争だ
国がどれだけ兵力を導入しようとも
この砂漠は水のように吸い込んで行くだけだ
苦労して制圧して
何が残る...
やっぱり砂だけじゃないか...」




「あぁ...
内乱の鎮圧にしちゃ
徹底的すぎる」




すると後ろから足音が聞こえた




2人がそちらに向き直ると




そしてフードをとって挨拶をする女性の狙撃手




「お久しぶりです
マスタング少佐
覚えておいでですか?」




「(何てことだ...
この人も
人殺しの眼になってしまった...)」




そして3人は町に戻って話をした




「教えてください少佐
国民を守るべき軍人が
なぜ国民を殺しているのですか?
人に幸福をもたらすべき錬金術が
なぜ人殺しに使われているのですか?」




「それが国家錬金術師の仕事だからです」




すると答えたのはロイではなく




近くで座っていたキンブリーだった




「なぜ国民を守るべき軍人が
国民を殺すのか
それが兵士に与えられた任務だからです
違いますか?」




「割り切れと言うのか!?
この惨状を」




キンブリーは顎に手を当てて考えた




「そうですねぇ
例えば...お嬢さん
私は嫌々やっている、そういう顔ですね」





リザは眉間に皺を寄せて俯いた




「相手を倒した時
当たった!よし!と自分の腕に自惚れ
仕事の達成感を感じられる事が
全く無いと言い切れますか?
狙撃手さん」




リザは目を見開いた




この場の空気は威圧感そのものだ




「それ以上言うな!!」




ロイが立ち上がってキンブリーの胸倉を掴んだ





「私からすれば
あなた方のほうが理解出来ない
戦場はそもそも敵を殺す場所です」




「!」

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作者名:いちご牛乳 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2022年4月30日 17時

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