波の段＊6 ページ25
．
日も完全に沈み、北の空に三日月が輝いている。
すばるは信五と裕の店を出て、なんとか今日寝る場所を見つけていた。
_______ただ、すばるの頭の中から裕が言った言葉が頭から離れなかった。
「……夜は物騒……か」
裕は“物騒”と言っていたが、人の気配は全くない。
「……寝るか」
既に時刻はきっと零時に近い。
すばるは見つけた寝場所に座り、目を閉じた。
．
______ん……？
突然感じた“何か”ですばるは目を覚ました。
「なんや……」
その理由は直ぐに分かった。
すばるが座っている場所の近くが赤く、輝いている。
「火事だぞぉぉぉおっ！」
男がそう叫ぶ声が聞こえた。
きゃあきゃあと悲鳴を上げて逃げる女子供。
駆けつけた火消しが水を掛ける_____が、火の勢いは止まらない。
_______逃げた方がいい。
そう直感で判断したすばるは立ち上がった。
「ん……？」
燃えている建物の裏道を駆け抜けて行った男。
「……。」
すばるはその男を追いかけていた。
男は何度も角を曲がり、走っていく。
すばるもその男の後を追い、道を走り抜けた。
しばらく走っていくと、男が肩で息をしながら立ち止まった。
「はぁっ……はぁっ……」
「……何をしたんですか？」
すばるの声に男は振り返った。
「……貴様……何奴……！」
男はすばるをぎっと睨みながら言った。
「……ただの踊り子や」
すばるは自分を睨みつける男の目を見ながら言った。
「ちっ……見られたからにはしょうがねぇ！」
男は手に持っていた石を投げ捨て、鞘から刀を取り出した。
______男が投げ捨てたのは、火付けに使うような石だった。
「……あんたが今の火事の犯人か」
すばるの言葉にびくんと肩を揺らした男。
「知ってしまったならば死んでもらう！」
男は刀を持ちながらすばるに向かって走り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 236人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未優(プロフ) - もぇさん» 今のところ次はやす君です！ただまた変わってしまうかもしれませんが……（笑）今のところはやす君です♪ (2013年11月17日 18時) (
レス) id: 9871693ac0 (このIDを非表示/違反報告)
もぇ(プロフ) - 次は亮ちゃんですか？？ (2013年11月17日 17時) (レス) id: 23b6e627cf (このIDを非表示/違反報告)
未優(プロフ) - ∞英華∞さん» コメントありがとうございます！更新スピードが上がっていませんがよろしくお願いします♪ (2013年11月14日 20時) (レス) id: 9871693ac0 (このIDを非表示/違反報告)
未優(プロフ) - デッドさん» コメントありがとうございます！ゆっくりですが更新していきたいと思います！よろしくお願いします♪ (2013年11月14日 20時) (レス) id: 9871693ac0 (このIDを非表示/違反報告)
∞英華∞(プロフ) - いつも読んでます♪更新がんばってください！ (2013年11月13日 21時) (レス) id: cd2dd81499 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2013年10月27日 13時
