藤の段＊2 ページ13
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誰もやってこない屋敷の一角で、信五はひとり泣いていた。
流れ落ちた涙は強く握り締められた右手の手首に落ちる。
「っ……」
信五の右手首に咲いた桜の花。
それは、
“二度とこの屋敷からは出られない”
そう彼に言っているようだった。
「なんでっ……！」
少年が屋敷を抜け出した日、信五は使用人達によって街から屋敷に連れ戻された。連れ戻された信五に、彼の父は何度も拳を振り下ろした。
拳が赤く染まり始めてもなお、信五の父は信五を殴り続けた。
_____そして信五の父は、少年の右手首に桜の花を彫り入れた。
それは一生消えない印。
どれだけ呪っても消える事がない印。
一生孤独を生きる、そう言っているようだった。
信五の目から零れ落ちた涙はまた桜の上に落ちた。
______________________
信五の手首に桜の花が咲いてから早数年。
18歳になった信五はやはり、孤独だった。
何年経っても信五の父は屋敷を出る事を許さなかった。
「______今日は満月か……」
真っ暗な空に白く輝く満月。
何処か冷たく、ひとり輝く月。
「……世の中は不平等や……」
何度自分の運命を呪っても、どうにもならない現実。
「______あ……」
不意に吹いた強い風が、庭に咲く藤の花を散らす。
風にさらわれた花びらは宙を舞い、ゆっくりと地面に落ちていく。
花びらは散り、やがてすべての花が散ってしまう。
そしていつの日か、藤の木は誰にも気づかれる事無くその命を終える。
「______俺と同じだな」
信五はそう呟いた。
藤の木は誰にも気づかれないまま死んでいく。
「_____綺麗だな……」
静かに自身の存在を土に踏みしめ立つ藤。
また風が吹き、藤の花が舞った。
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未優(プロフ) - もぇさん» 今のところ次はやす君です！ただまた変わってしまうかもしれませんが……（笑）今のところはやす君です♪ (2013年11月17日 18時) (
レス) id: 9871693ac0 (このIDを非表示/違反報告)
もぇ(プロフ) - 次は亮ちゃんですか？？ (2013年11月17日 17時) (レス) id: 23b6e627cf (このIDを非表示/違反報告)
未優(プロフ) - ∞英華∞さん» コメントありがとうございます！更新スピードが上がっていませんがよろしくお願いします♪ (2013年11月14日 20時) (レス) id: 9871693ac0 (このIDを非表示/違反報告)
未優(プロフ) - デッドさん» コメントありがとうございます！ゆっくりですが更新していきたいと思います！よろしくお願いします♪ (2013年11月14日 20時) (レス) id: 9871693ac0 (このIDを非表示/違反報告)
∞英華∞(プロフ) - いつも読んでます♪更新がんばってください！ (2013年11月13日 21時) (レス) id: cd2dd81499 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2013年10月27日 13時
