ep.8 ページ9
「えっ！？えっと…ど、どうしよう…どこか痛むの？」
私が大泣きした瞬間、困ったように狼狽え始めた。痛むのか、という問いかけに対して私は小さく首を横に振った。
『ち、ちがう…道が、分からなくて…』
「道？どこに行きたいの？」
『"オリバンダーの店"』
「あ…それなら反対方向だよ」
『えっ！？！？』
男の子が私が歩いてきた反対方向の道を指さす
私は思わず指さされた方向を見つめた。
「君…もしかしてホグワーツに入学するの？」
『う、うん…杖を選ぶように、言われてるんだけど…迷子になっちゃって……』
「そっか……えっと…僕が一緒に行こうか？」
『い、いいの？』
「うん…僕は全て買い揃えたから…その…場所も分かるし…」
自信なさげに話してくれる男の子に対して私は我にも縋る思いで大きく頷く。
「じゃあ…行こうか」
男の子は私に向かって手を差し伸べた
私は恐る恐る男の子の手を握ると、そのまま私の手を引いて歩き出した。私は思わず頬が赤く染る。
『ご、ごめんね…迷惑かけちゃって…』
「迷惑だなんて思ってないよ。だから、その…謝らないで。僕が悪い事してるみたいだから…」
照れてるのか、私と目を合わさずに話をしてくれる。
でも、握った手はしっかりと繋がれていた。
『ありがとう…えっと……』
「あ……僕は、ニュート。ニュート・スキャマンダー」
『私はA・ロイス。よろしくね。スキャマンダーくん』
「ニュートでいいよ」
『ニュート。とても素敵な名前ね』
「……それは君のほうだよ」
私は初めてのお友達が出来たことに対して喜びを感じていた
手を繋いだまま、私の歩幅に合わせて歩いてくれる
『ニュート、ご両親はどこにいるの？』
「あ、兄さんと適当に買い物してると思うから…ほっといても大丈夫だよ。何かあったら魔法で知らせるから。…そういう君は？」
『………私の両親は小さい頃に亡くなっているの。だから今日は……えっと、親戚の人と買い物に来てるの』
ミネルバの事を親戚と言って大丈夫だっただろうか…。
私がそう言うとピタッとニュートが立ち止まった
不思議そうに首を傾げるとニュートはとても悲しそうな表情を浮かべていた。
「………ごめん。無責任な事聞いて」
『あっ……ううん！気にしないで。もう慣れっこだから』
「……そういう事は慣れなくて、いいんだよ」
ニュートの言葉に思わず目を丸くした
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作者名：Lia | 作成日時：2023年6月29日 19時
