大切な人を守る為に《ﾌｧﾝﾀﾋﾞ》 (ページ48)

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ep.47 ページ48

じっと見つめるヒッポグリフに私は思わず恐怖心を感じた。
そこにニュートが背後に回り、耳元で囁く。

「こいつに触るにはまず、お辞儀をしなくちゃならない」

『お辞儀…？』

「そう、僕達に悪意が無いことを証明するんだ。お辞儀をして彼がお辞儀を返せば悪意がないと認められ触ることが出来るんだ」

『そ、そうなんだ…』

「怖がらないで。恐怖心は動物にも伝わってしまう。自信を持って、やってご覧」

トンっと軽く肩を叩かれ、ニュートは私から離れる。
私はニュートに言われた通り、恐る恐るヒッポグリフにお辞儀をする。すると、ヒッポグリフは同じように恐る恐るお辞儀を返してくれた。

「いいぞ、じゃあそのまま視線を外さずゆっくり近づいてみて」

腕を少しずつ伸ばし、ヒッポグリフから目を離さずゆっくり近づいて行く。私の手がヒッポグリフの目の前に辿り着くとヒッポグリフは私の手の匂いを嗅いだ。緊張した面持ちでその様子を見て、そのままするりと首を触る。

ふわふわな毛並みを撫でるとヒッポグリフは気持ち良さそうに私の手に擦り寄ってきた。

『可愛い……』

「凄いよ、A！一発で触れるなんて！」

ニュートは驚いていた。並大抵の人は一発でヒッポグリフに触ることが出来ないのに、Aは難なくそれをやりこなして見せた。もしかしたら彼女には素質があるかもしれない。そう確信したのだった。

すると、ヒッポグリフは私の前にうつ伏せに座った。
困った私はニュートに助けを求めた。

「背中に乗せてくれるって。乗ってみたら？」

『えっ！？ちょっと、怖い…かも』

「大丈夫、僕が一緒に乗るよ」

『うわっ！！！』

そう言うとニュートは私を軽々抱えてヒッポグリフの背中に乗った。そして、勢いよく空へと羽ばたいて行った。

『きゃああ！！』

「A、前を見てご覧！」

そう言われ恐る恐る目を開けると広大な自然が広がっていた。
緑豊かな森と澄み渡った川、そしてどこまでも広がる青い空。
私はこれほど無い感動に満ち溢れていた。

『凄い、とても綺麗…』

「やってみてどうだった？」

『とても感動した。人と同じで動物とも意思疎通が出来るのね』

「そう言って貰えると嬉しい。誘って良かったよ」

『ありがとう、ニュート。こんな貴重な体験をさせてくれて。私も魔法動物が好きになったわ』

ニュートの前でキラキラと楽しそうにしているAを見てニュートは思わず腰に回している腕に力を込めた。