ep.40 ページ41
驚いたニュートは、困ったように小さく微笑んだ。
「Aの思ってる好きがどれなのか分からないけど、友達としては、好きだよ」
『そ、そっか……』
友達として好きでも、何故かモヤモヤする。
ニュートが他の子と仲良くしてるところを見るのは、辛い。
それは、なぜ…？
悩んでいると、今度はニュートから質問が飛んでくる。
「Aは、僕の事、好き？」
『え、うん、大好きよ』
「それは友達として？お兄ちゃん的な存在として？」
『そ、それは……』
もちろん、友達として、お兄ちゃん的な存在としても好きなのは変わらない。変わらないのに、何故か言葉が出ない。
言葉が出ないのは、どちらでもない気がしたから。
じゃあ、この気持ちは一体、何…？
暗い顔して悩んでいると、突然、視界が暗くなり傍にニュートの香りが漂う。ぎゅっと力強く抱き締められていた。
「ごめん、君が必死に考えてる姿が可愛くてつい、意地悪しちゃった」
『え？えっと……意地悪？』
「その反応…期待しても、いいってことかな」
耳元で囁かれ身体中に鳥肌が立つ。
一通り抱きしめたニュートは私を離して顔を覗き込んだ。
ニュートの瞳、綺麗。
なんて、暢気な事考えていると私の頬を優しく引っ張られた。
『！？』
「この鈍感。ここまで言っても気付かないなんて…僕はずっと待ってるんだから、ちゃんと考えてよね」
『ふぁ…ふぁい……』
頬を引っ張られながら返事をすると、それが面白かったのかニュートはクスクス笑いながら手を離した。
引っ張られた頬を撫でていると、ニュートは私の手を優しく包み込んだ。その手はまだ少し赤みを帯びていた。
「赤くなってる。ちゃんと冷やした？」
『すぐ治ると思って……』
「はぁ〜…そうだろうと思ったよ。おいで、一緒に医務室に行こう」
『じ、自分で行けるよ！』
「また迷子になったら大変だ」
『もう迷子にならないもん！！』
「どうかな、この間薬草学の教室が分からなくて彷徨ってたのはどこの誰だった？」
『うっ……』
ニュートに痛い所を突かれ、反論出来なくなった。
大人しくなった私の手を引いて時計台を後にする。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lia | 作成日時：2023年6月29日 19時
