ep.31 ページ32
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『ニュート……』
「こんな雨の中一体何をしてっ……！」
『ニュートっ…ニュートだ…やっとっ…会えたっ…うっ、うわあああん！！！』
僕は心配で怒鳴ってしまったが、Aは僕の顔を見た瞬間、僕に抱きついて大きな声で泣き始めた。その勢いで僕は地べたに座り込んでしまう。
ああ……なんと愚かな事をしてしまったのだろう。
変な意地を張らず、素直に声を掛ければ良かった。
"一人で抱え込まないで"と言ったのは僕なのに…
結局、僕は今、彼女を泣かせてしまっている。
僕の居ないところでいっぱい泣いたのだろうか。
どれだけ寂しかっただろうか。
出来ることなら、もう一度…君の傍にいたい。
君の笑顔に触れたい。
僕の瞳からは涙が零れ、僕にしがみついて泣いているAの背中に腕を回して抱き締めた。
「ごめん…本当に、ごめん……A」
そう囁くとAは更に大きな声で泣き始めた。
激しく降る雨は、二人の涙を隠すかのように降り続いた。
リタはその様子を悲しそうに見つめていた。
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雨に打たれてずぶ濡れになった、ニュートと私は着替えるためにお互いの部屋に一旦戻ってきた。
部屋に戻るとリオンからものすごく怒られた。
事情を話すと、笑って私の背中を押してくれた。
「Aに怪我がなくて良かった。この後ニュートに会うなら言っといて。ずっと待ってたよって……」
そう言われ、頷き私はハッフルパフの談話室へと向かう。
お互い着替えてから談話室に集まろうということになり、私は急いで談話室に入る。
ニュートはまだ、いない。
椅子に座り、大人しく待つことにした。
シン…とした空気が不安を掻き立てる。
すると、寮から着替えてきたニュートが談話室に入ってくる。
ニュートは黙って私の隣に座る。
「……」
『……』
ニュートと話さなくなって約一年の歳月が流れていた。
その間、聞きたいこと、話したいこといっぱいあったはずなのに、何故か言葉が出てこない。
「……A、雨の中、何してたの？」
一番初めに口を開いたのはニュートだった。
その言葉を聞いて、私は再び泣き始めてしまった。
驚いたニュートは焦った様子で言葉を濁した。
「あ……いや、その……言いたくなければ言わなくても…」
『ごめんなさい。ごめんなさい、ニュート』
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作者名：Lia | 作成日時：2023年6月29日 19時
