ep.30 ページ31
ニュート side.
冬の長期休暇を終えて、皆といつも通りの生活を送っていた。
リオンがアレンをからかい、アレンは変わらずAを口説いて、僕の隣で元気よく笑ってくれるAがいて。
とても幸せだった。
このまま、ずっとこれが続けばいいなと思っていた。
ある日、僕はホグワーツの外の一本の木にボウトラックルがいるのを発見した。それを見た僕はとても興奮した。
それから、ボウトラックルや他の魔法動物の勉強をしたり探しに回る事が多くなった。授業も疎かにすることが多くなった。
アレンから"授業に来い、Aも待ってる"と言われたが、それを無視して魔法動物の勉強に力を入れた。
いつか、君にも見せてあげたい。
動物が好きだと笑っていた君にも教えてあげたい。
その想いで魔法動物の事を勉強していった。
でも気付いた頃には三人と疎遠になってしまっていた。
どう、話しかければいいのか分からなかった。
悩んでいるうちに二年生へと進学していた。
その頃にスリザリン生のリタ・レストレンジという子と仲良くなった。
僕が物置でカラスのヒナを育てていたところにリタがやってきた。彼女も魔法動物に興味があるみたいで、いつの間にか彼女と一緒にいることが多くなった。
リタといるのは楽しい。
でも、心はぽっかり穴が空いたままだった。
そんな、ある日。
僕はリタと一緒にホグワーツの廊下を歩いていた。
徐々に雨雲が広がり今にも雨が降りそうだった。
「雨が降るわね。急いで戻ろう、ニュート」
「うん、そうだね」
僕達は雨が酷くならないうちに寮へと戻ろうとした。
その時、中庭に見覚えのあるブロンズヘアの子が見えた。
A？一体何をしてるんだ…？
僕が立ち止まると、リタも止まり中庭に視線を移す。
「あの子、ニュートと同じハッフルパフの子よね。何してるのかしら？」
「………」
僕はじっとAを見つめた。
Aは何かを探しているのか中庭の床や茂みに手を突っ込んでいた。
次第に雨の勢いが強くなっていく。
流石にもう探さないだろうと思っていたが、中々探すのを止めない。
Aはその場に座り込み、涙を流していた。
そして……。
『ニュートっ……』
僕の名前を呼んだ。
その声が届いた僕は激しく降る雨の中、飛び出して行った。
「ニュートっ！！」
リタの静止を聞かず力強くAの腕を引っ張った。
顔をあげた彼女の瞳からは大量の涙が溢れていた。
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作者名：Lia | 作成日時：2023年6月29日 19時
