ep.29 ページ30
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それから、私達は二年生へと進学した。
相変わらず、ニュートは魔法動物に力を入れていて中々姿を見せない。リオンから"諦めなさい"と言われてしまったが、私はずっとニュートと話す機会を探していた。
私は変わらず、時計台がお気に入りの場所。
ここに来れば、ニュートも居るかもしれない。とそんな淡い期待を抱きながら今日も時計台へと登る。
そこには誰一人、いなかった。
私は時計台の柵に寄り掛かり、首からネックレスを外す。
『もう……友達じゃなくなったのかな…』
ネックレスに向かって呟く。
自分で言っておいて悲しくなり涙が溢れる。
泣いてても変わらない。腕で涙をゴシゴシと拭くと、突然、突風が吹き荒れる。
その瞬間、手に持っていたネックレスが飛ばされて下へ落ちていった。
『そんなっ…！！』
私は慌てて時計台を降りていき、落ちていったであろう場所へ走って行く。中庭へ降りて辺りを見渡すが、それらしきものは落ちていない。
『とりあえず、探さなきゃ…！』
中庭の茂みや地面を隈無く探す。
徐々に雨雲が広がり雨が少しずつ降り始める。
私は濡れても尚、ネックレスを探し続けた。
あれは、初めてニュートに貰った大切なネックレス。
会えなくても、これさえあれば私は平気だった。
貴方と繋がってるような気がして…。
雨が徐々に強くなってくる。
濡れて視界は更に悪くなっていく。
じんわりと涙が溢れて止まらなくなる。
『ふっ……うぅ〜……』
どうして……。
どうして、会えないの？
貴方は今、何してるの？
会いたい。話がしたい。
『ニュートっ……』
「何してるんだっ！！」
力強く腕を引っ張られて聞き覚えのある声が聞こえた。
顔を上げると、そこにはニュートの姿。
ああ、やっと会えた。
『ニュート……』
「こんな雨の中一体何をしてっ……！」
『ニュートっ…ニュートだ…やっとっ…会えたっ…うっ、うわあああん！！！』
私は勢いよくニュートに抱き着いた。
彼が濡れる事は気にしなかった。
そんなのどうでもよかった。
彼が今、目の前にいるのだから。
泣きじゃくる私を見たニュートはそっと私の背中に腕を回した。
「ごめん…本当に、ごめん……A」
小さく囁いた声は私の耳にハッキリと届いた。
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作者名：Lia | 作成日時：2023年6月29日 19時
