ep.28 ページ29
「どうかした？」
『ニュート、何だか元気無いけど…大丈夫？』
「え…ああ、なんでもないよ、大丈夫」
少し戸惑いの色を見せたが、すぐに元のニュートに戻ってしまった。気のせいだと思い、私は首に掛けている物を見せる。
「それ…付けてくれたんだね」
『うん、とてもお気に入りでずっと付けてるの』
「良かった。ずっと心配してたんだ。迷惑だったらどうしようって」
『迷惑なんかじゃないわ。とっても嬉しかった。こうやって何かをプレゼントして貰った事がなかったから…』
ネックレスをぎゅっと大事そうに握りしめた。
『ずっとお礼が言いたかったの。ありがとう』
「こちらこそ付けてくれてありがとう。実は僕もずっと身に付けてるんだ」
そう言うとニュートの首から私があげたネックレスが出てきた。
「とても綺麗なネックレスだね。僕にはもったいないくらい…」
『そんな事ないわ！とても似合ってる』
「ありがとう。僕もお気に入りでずっと身に付けてるんだ。まるで君が傍にいるような気がして……」
『傍に……？』
私がそう言うとハッとしたニュートは一瞬で顔が真っ赤になった。その意味が分からず見つめていると、顔を逸らされてしまった。
「なっ、なんでもない！ほら、二人に置いていかれるよ！」
『え？ちょっと、待ってよ！！』
誤魔化すようにニュートは先を歩く二人の元へ歩いて行ってしまった。私も置いていかれないように走って三人を追いかけた。
それからの学校生活。
変わった事がひとつだけある。
入学した頃からニュートは魔法動物の勉強にとても熱心だったが、必ず授業は私達四人で受けていた。
しかし、更に熱が入り始めたのか、授業にも出てこなくなる日が少しずつ目立ち始めた。
アレンが心配して授業に誘ったらしいのだが、それでも来ない日があった。
魔法動物を探しに外を彷徨く事が多くなった。
そして、周りからは魔法動物に興味を持つ"はぐれ者"だと噂されていった。
私はニュートといる時間が少なくなっていった。
仕方がないのだ。探しても探しても居ないのだ。
いつも私の隣にいたニュートは、今はいない。
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作者名：Lia | 作成日時：2023年6月29日 19時
