大切な人を守る為に《ﾌｧﾝﾀﾋﾞ》 (ページ22)

今日:38 hit、昨日:3 hit、合計:19,132 hit

ep.21 ページ22

季節はもうすぐクリスマス。

周りの山々には雪が積もり、ホグワーツもクリスマスに向けて煌びやかな装飾が施されていた。私は時計台の上から外の景色を眺めていた。

ニュートと初めて練習したあの日からこの場所がとてとお気に入りになってしまった。ここにはあまり人が来ない。だからとても落ち着くのだ。

しかし、流石にもう時計台はとても寒い。
私はかじかんだ手に息をはぁっと吐き出す

『寒っ……』

冷たくなった手を擦り合わせていると、時計台の階段をバタバタと上がってくる足音が聞こえる。振り返るとニュートが手に上着を持って走ってきた。

「やっぱりここにいたっ…！」

『ニュート？どうしたの、そんなに慌てて…』

「どうしたの、じゃないよ。そんな薄着でここに来るなんて…風邪引いたらどうするんだ」

自分的には寒くない格好をしてきたつもりだったが、どうやら心配させたみたいだ。ニュートは私に近寄り、自分のローブを私に掛けた。

『大丈夫だよ、これニュートのでしょ？汚したら申し訳ないし…』

「その時は洗えばいいよ。今は君の身体を温めるのが先。いつからここに居たの？」

『うーん……一時間前から？』

「はぁ……もう少し自分の身体を心配してくれ」

『大丈夫よ、こう見えて私、風邪引いたことないんだから！』

「そういう人が風邪引いたら重症化しやすいって知ってる？」

『知らなーい！』

「全く…」

あれ以来、ニュートは常に私のことを気にかけてくれるようになった。同い年だけど、お兄ちゃんのような感覚だった。甘えたりわがまま言えたりするのもニュートだけだ。

ニュートは呆れたように息を吐くと、私の手を握り締めた

「冷たっ…こんなになるまで戻らないなんてどうにかしてる」

『ニュートの手、温かいね』

「呑気な事言ってないで戻るよ」

『待って、もう少しだけここに居させて』

私がそう言うと、ニュートは諦めたように私の隣に立ち、自分のマフラーを私に巻き付けた。さっきまでニュートが巻いていたので温もりがまだ残っている。それが気持ち良くてマフラーに顔を埋める

ニュートの香りがして、とても安心する

「何か考え事？」

『もうすぐクリスマスで、皆お家に帰っちゃうでしょ？』

「そうだね、Aは帰らないの？」

『私はここに残る。帰っても一人だし…なんか、寂しくなっちゃって…』

落ち込んだ様子で外の景色を眺めながら話す。

→