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「はぁ..はぁ..っ」
どのくらい走っただろうか。
気付けばもう浮所の家は見えず、見慣れない
風景のところまで来ていた。
病み上がりで走ったからか、汗という汗が全身から
吹き出て気持ちが悪い。
少し歩いていると小さな公園を見つけ、
やっとの思いでベンチへと腰掛ける。
頭がぐちゃぐちゃで整理がつかない。
自分を見失ってしまっている、こんな姿
ファンの子達には見せられない。
ここ数日間で、色々なことがあり過ぎた。
きっと思い返せば、幾分前から意識はしていた。
それでも、仕事に影響が出るのが怖くて、
何より引かれるのが怖くて言い聞かせていた。
'これは恋なんかじゃない。'
それを、瑞稀くんの言葉で崩され、
浮所本人の言葉で実感させられ、打ち砕かれた。
苦しい。
好きだと認めた瞬間に、'アイドル 那須雄登'という
キャラが、跡形もなく壊れてしまった。
---- 〜♩♩ ----
[ 着信 : 浮所飛貴 ]
ポケットに入れていた携帯が震え、
差出人に光る彼奴の名前。
出られるわけないだろ..、なんて思いながら
携帯を握りしめる。
腿の上で組んだ手の上に、ぽつりと水が垂れた。
雨かと思い空を見上げるもそんな様子はない。
気付けば頬にもそれは伝っていた。
震え続ける携帯を片手に目元を拭うも、
涙はぽろぽろと、止まることを知らずに溢れて
次第に嗚咽まで出るほどになっていた。
『那須！』
あぁ、ついに幻聴まで聞こえてしまったのか..
耳を塞いで音を遮断する。
『那須。』
それを阻止するように、手を掴まれ剥がされる。
そのまま引っ張られ、気付けば胸の中にいた。
『頭良いくせに鈍感なの、狡いって。』
『っていうか、そろそろ素直になってよ。』
離れなきゃいけない、そう思いながらも、
手も身体も動いてくれない。
浮所の言うことが、思考が、理解出来ずに
ただされるがままに、棒立ちしている俺の頬を
両手で包み、視線を合わせてくる。
『..酷い顔。イケメンが台無しじゃん。』
充血し赤くなった目を見て笑いながら、
それでも労わるように目の下を優しく指の腹で
さする。
お前のせいだけどな、なんて言えずに、
視線をただ逸らしていると、喋らない俺に
痺れを切らしたのか、
『ねぇ、那須。』
と、語尾を強めて、真剣な眼差しで見つめてくる。
それには俺も怯んで、というか、驚いて、
ゆっくりと視線を浮所の目元に向ける。
はぁ、と俺の肩に手を置きながら深呼吸をした
浮所は、真っ直ぐに俺を見て、話し始めた。
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みい(プロフ) - うきなす最高でした！浮所くんの告白が素敵でした！ (2019年12月5日 7時) (
レス) id: e85fd623a5 (このIDを非表示/違反報告)
來咲蘭(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます！うきなすいいですよね！とても嬉しいです、頑張ります！ (2019年11月12日 23時) (レス) id: 74b27bb1a7 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - はじめまして！楽しく読ませてもらっています！うきなす大好きなのでこれからも更新楽しみにしています！ (2019年11月12日 23時) (レス) id: 1ae8841bee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來咲蘭 | 作成日時：2019年11月8日 4時
