Atlas

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【ごめんなさい。今度からは買い物に行くときは連絡するようにします】

【最初からそうしろって言ってんだろ】



確かに私からは買い物に行くって今までずっと連絡できなかったままだけど
最初の日から翌週も、そのまた翌週も会社の前で勝手に待ってたのは登坂さんだ



ビルのエントランスで毎週金曜日に登坂さんがいるから何事かと女性社員達が騒ぎ出したから、先週から自宅集合に変わった。


変わったけどさ、それ提案したのも登坂さんだし、
私にも付き合いってもんがある





普通の家族とは違うから「今日飯いらない」「出張で帰らないから」「日曜日だれだれと遊びに行く」って連絡することはない


それがお互いに決めたルールでしょ？
買い物行くのも私が来てほしいっていったわけじゃないのに……



【で？今日は遅くなんの？】

【いえ、もう駅着いたんで歩いて帰ります】

【どこ？】

【え？】

【だから、駅のどこにいんの？】

【あー改札出て南口のセブンの前らへん】

【ちょっとそこで待っとけ】



急にそこで待っとけと言われても…



ここでなにしろと……




仕方なく、その場で先ほどの先輩とのトーク画面を開いて、案の定ツッコんでいた返信に顔がほころぶ



それに返信して顔を上げると
息を上げたイケメンが走ってきた。





額からは汗が光っていて、







もしかして…







走ってきてくれた？？





「お前さ…遅くなんなら言えよ」





肩で息をしながら登坂さんが怒るというよりは若干呆れたように




「まぁ…無事ならよかったわ。ほら。帰んぞ」




もしかして…





心配してくれてた？





うそ。






でも、そうとしか考えられない






家からここまで全力でダッシュしてもこんな短時間でここまでこれない






探してくれてたんだ





「なにしてんだよ。早く帰るぞ」






言葉は悪いけど、そんな登坂さんにちょっとキュンとした




この人、複数人の女性とそういう関係をもつような人だから器用な人かと思っていたけど
案外不器用なのかもしれない




「約束……大丈夫ですか？」

「あ？……あぁ……断ったわ」





言葉は悪いのにそっと、車道側を歩く登坂さん





少し自分が他の彼女たちよりも特別なのかもしれないと嬉しかったのは秘密だ

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