我が家の教訓 Episode0

親の複雑な心情 ページ16

直人さんと写真を送る約束をして、帰路の新幹線に乗っていると

A「パパ？さっきのだあれ？」

「あ〜そうやな。あしながおじさんかな？」

A「えーパパよりちゃっちゃかったのに？パパのほうがあしながいのにね〜」


そういう意味じゃ…俺らに親子の時間を与えてくれた人になんて失礼なことを…
礼儀正しく、人のことを思いやれる常識ある子に育てようと強く思った。



それからのAの成長は当時は毎日が大変だったように思っていたけど
今思うとあっという間に過ぎていって
自分で言うのもあれやけど、立派なええ子に育ったと思う。
どこに出しても恥ずかしくない自慢の娘。


大手の企業に入社して、男の影も全くなかった子がかしこまって話しだしたときは
ついに紹介したい男がいるといつ言われるのかそわそわして、飯の味が全くしなかった

どこに出しても恥ずかしくないとは思っていてもいざ、となるとそれはそれで複雑なものがある
いくつになっても俺にとってはかわいい娘であって手元に、目の届く範囲にいて欲しいなんて親のエゴやろか


まぁ、話の結論からいうと転勤が決まったということだったけど、
本社への栄転だと、嬉しそうに話すAに「よかったやんけ。今までの努力が報われたんやな」って一緒に喜んだりもしたけど、
内心心配でしかなかった。

何かあってもすぐにかけつけることもできへん場所。
家事もなんでもこなすし、１人暮らしすることには不安はない
でも俺の知らんとこでわけのわからん男に捕まるんだけは…
気が気じゃなかった
最近物騒な世の中やし……


E「健二郎くんさ、Aちゃんもいい年なんだから自分でちゃんといい人選ぶって。明らかに変な人連れてはこないって」


ELLYにも何度も諭されるけど、騙されたら傷つくのはAであって、
ただでさえ、母親いなくて辛い思いさせてきたのに後は幸せな人生を送ってほしいって思うのがどこか間違っとるやろか？

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