黒ノ桃 Ⅳ (ページ47)

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正直言うと、意識飛ばして眠っていた時の記憶はなくて、何なら意識飛ばす前もうっすらしか覚えていなかった。
兎に角、体が痛くて物凄い倦怠感で辛かったのは微妙に覚えている。
危ない状態だったと言われたけど、俺は意識なかったから別に何ともなかった。
蓮は死ぬほど心配したらしいけど。笑

目が覚めたら口に呼吸器突っ込まれてて、凄く不快だし、外してくれなくて話せないし動けなくて最悪だった。
ずっと同じ体制で寝てるから体痛くて、蓮やこーちが時々体制を変えてくれたり、蓮はマッサージもしてくれて幾らかは楽になった。

そして、やっと呼吸器が外れた。
まぁ外れても酸素マスクはしとかないといけないけど。
久しぶりにシャンプーしてさっぱりしたし、喉の異物がなくなってだいぶ楽になった。
なのに心は乱れて、イライラしたり泣いたり、そんな俺を蓮とこーちは優しく受け止めてくれた。

ーーー

あれから、流動食が嫌だと我儘も言いながら、ゼリーやらヨーグルト、野菜ジュースで補いながら固形食へ移っていった。
ちょっとずつ、前の量にはまだ足りないけど出されたご飯の半分は食べれるようになった。

そして、体力を付けるために院内を散歩したり、関節をほぐしたり、リハビリを重ねた。
初めなんて、ベッドからナースステーションの往復でも疲れてたのに、今は外の空気を吸いに中庭まで行けるようになった。
まぁ、元々体力がないから長時間歩くことは出来ないけど、日常生活は送れるくらいに回復した。

「大我、頑張ったな」
「大我、帰ろっか」
「定期検診はあるからな、忘れるなよ」
「わかってるよ～」
「じゃあな」

2週間後、やっと退院することが出来た。
口煩いこーちには無理するなよと釘を刺されながら、適当にはいはいと返事をして病院を後にした。