黒ノ桃 Ⅳ (ページ42)

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次の日、大我がいないからいつもより少し遅く起きて昼前に病院に着いた。

「大我！！大丈夫！？」
「はぁっ、はぁっ、、、蓮」
「辛いな」
「蓮、ﾊｧ、抱っこ」
「起きるの辛くない？」
「ﾊｧんん」
「分かった、おいで」

病室のドアを開けるとベッドの上で真っ赤な顔をして荒々しく呼吸をする大我がいた。
大我が抱っこをせがんで来たから、俺はベッドの端っこに座って大我を自分の膝の上に乗せ、肩に頭を預けさせた。

「蓮、ｸﾞｽｯ、」
「ん、大丈夫大丈夫」
「ﾊｧﾊｧ、辛い、、ふぇっ、ﾋｸｯ」
「泣くと余計辛くなるよ」

昨日の夜1人で寂しかったのか力が入らないのにギュッと抱きついてくる。
俺の肩を汗と涙で濡らしながら大きく肩で息をする大我の背中を優しく撫でる。

「大我、寝れるなら寝な」
「ﾊｧﾊｧ、蓮、ﾊｧｸﾞｽｯ、ギュ、して」
「うん、してるから大丈夫」

大我を抱っこしたまま片腕でギュッと抱きしめて、片手で背中をトントンしてあげた。
暫くすると大我の体から力が抜けて眠りについたからベッドに横にした。
だけど1時間もしないうちにまた起きてしまった。

「はぁっ、ふぇっｸﾞｽｯ、、ゴホッ」
「大丈夫、大丈夫」
「ｸﾞｽｯ、、蓮、ゴホッ、、痛い、、辛い」

インフル特有の関節痛にベッドの上で体を捩る大我を摩って、汗を拭く。
高熱でうなされて、本当に辛そう。

「ゴホッ、、ゴホゴホッ、、はぁっ、はぁっ」
「大我、大丈夫、ゆっくり息して」
「はぁっ、ﾊｧ蓮、、もう、ﾊｧ無理、、」
「大我！！大我！」

ついに大我は意識を飛ばしてしまった。
俺は急いでナースコールをした。

「大我ー、わかる？大我！まずいな、呼吸状態が悪い、熱も上がってる」
「大我、」
「挿管しよう、それと氷枕持ってきて」

髙地先生は的確に指示を出して、それを俺は少し離れて見ているしかなかった。
人工呼吸器、心電図、様々なものが付けられて一瞬で変わり果てた大我に俺は呆然と立ち尽くしていた。