53話 ページ30
、
途中で空歩さんとすれ違った。
「空歩さんや。こんばんわぁ」
「Aくん…！こんばんわー。遅いね…ってどうしたの！？砂だらけ！！」
あーさっきいじけて寝そべったから、その時に付いたんやな…と特に気にするそぶりも見せずに放っておくと、空歩さんに髪を手櫛で直される。
変わっとらんなぁこのおかん気質…
「其方は？」
「あー、おんなじヒーロー事務「恋人や！！！」
うわ、ちょ！！」
手を恋人繋ぎにされて、ぐいっと腕を引っ張られた。
半ば引きずるようにして走り去られる。
「わ、わ、待って！！」
「…こい、び、と…？」
口元を押さえて呆然としている空歩さんを、俺は知らなかった。
……
縺れる足をなんとか直して付いていく。
さっき渡した鍵を開けられて、家に入る。
「はぁ、はー、しんど、しんどい…」
息を整える。
そういや、前もこんなんあったような…
「…ふぁ、とさん…はぁ、嫉妬したん…？」
まだ整いきらない息を吸って質問する。
「悪いか」
この会話もいつかしたような気がする。
「えへ、うれしい…案外嫉妬しいなんやね」
「あんま嫉妬させんといて」
「ん…」
俺は自分からベッドに倒れこんだ。
「あの、な。俺が泊まってもええ？って聞いた意味わかっとる？」
「わかっとるよ。そこまで鈍感ちゃうわ」
そういうと満足したように俺の服に手をかけた。
…
フラグが立っちゃうので、行為中のお話は書きません。
…
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作者名：花苑 x他1人 | 作成日時：2017年9月6日 16時
