31話 ページ1
、
鞘から刀を二本抜いて両手で持つ。
する、という音が堪らなく戦の血を沸かせる。
「右腕15本 左腕15本。合計30本
複製移動」
「な、なんだぁ！？腕！？」
そして、目。
包帯を巻いている方の目を複製させ、巻いて居ない目を閉じる。
拡大して上に複製移動すると上からの情景が頭に入って来る。
瞬間。
「覚悟せえよ。…アリ一匹逃したらん」
早計算をするかの様に頭から腕に指令を送る。
今でも40本に別々の指令を送るのは無理だ。倒れてしまう。
それでも30本なら何とか別々に指令を送ることができる。
そして、最後の1人。
相手の個性が刀だった為、かなりかわされた。
でも…
「…何したって無駄やで」
刀を握った30本の腕は、その残った1人の敵の周りを円型に囲う。
そしてお決まりの集中攻撃。
「…何やこんなもんかい。」
個性を解いて目を開ける。
「…流石だよ。俺のA」
「お前のじゃねーわカス！！！」
中指を立ててやった。
「…ところでA、敵はこれだけじゃない」
「…あ？…まさ、か…！！！！」
「向こうに、
ーーーー脳無を三体送っておいた。」
「〜っ！！！」
踵を返してファットさんと環の元へ走る。
その時パシッと死柄木に手首を掴まれる。
「触んな！」
「…ほっそ…こんなのすぐに壊せちゃう…」
つん、と一瞬だけ触れたその五本指は、俺の手首にヒビを入れて崩れた。
ボロボロと皮膚が崩れるとともに血が滴り落ちる。
そして後ろから腕を強く引かれたと思ったら、次は優しく抱きしめられた。
突然のことに困惑する。
「い、いや！やめて！！！ほんま無理！キモい！」
抜け出そうとしても耳に息を吹きかけられて肩が跳ね上がった。
「…かーわい…ここで俺と来てくれたら、お前を連れて引き上げてあげるけど…どうする？」
「…は？」
俺の自分でも驚く低い声と共に、俺の中の何かがブチっと切れた。
鳩尾に肘を入れて、腹に回っている死柄木の腕を掴んで思い切り背負い投げする。
地面はへっこんで砂埃が舞い上がる。
対応に遅れてモロで受けた衝撃で気絶してしまった死柄木の耳元でこう言ってやった。
「誰が行くかボケナス」
俺はファットさんと環の元へ全力で走った。
……
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作者名：花苑 x他1人 | 作成日時：2017年9月6日 16時
