010___T. ページ10
自然と速まる足を止めたのは
那「大昇！」
人目も気にせず、背後から俺を呼んだ那須だった
.
那「待って」
大「どした？…急いでるんだけど」
.
無意識のうちに
口から出てくる言葉に棘が付いてしまう
.
那「浮所のとこ、行くの？」
.
でも
那須から出たその名前に
思わず顔が上がった
.
大「…なんで」
那「今日あいつ、いつもと違う感じしたから」
大「……」
那「大昇、なんか知ってるの？…知ってるなら教えて欲しいんだけど」
大「……」
那「同じメンバーのことなんだから、心配して当然だろ」
.
メンバーのこと、と言われてしまえば
口をつぐむことが出来なくなることを
多分、那須は分かってて言ってるんだ
.
大「…足」
那「足？」
.
那須の言ってることは正しくて
メンバーが困ってることは、メンバー同士で共有した方がいいって
分かってるのに
.
大「浮所、右足に湿布貼ってて…多分、この前のレッスンの時に痛めたんだと思う」
.
俺だけが知ってる浮所のことを
他人に話すのが、嫌だと思ってしまう
.
那「そっか…分かった。俺行くから、大昇みんなのとこ戻って大丈夫だよ」
.
俺の返事も聞かずに背を向けて走り出した那須に
イライラして
自分がどんどん、嫌な奴になっていく気がする
.
大「………那須！」
.
浮所のことになると
自分が自分じゃないみたいで嫌になる
.
大「なんで…俺が浮所のとこ行くかもって、思ったの」
俺の声に振り向いた那須が、俺を真っ直ぐに見た
.
那「大昇さ」
大「……」
那「あいつのこと、メンバーとして好きだって言ったでしょ」
大「…うん」
那「俺、内心焦ってたんだよね。あそこで大昇が、好きとか言ったらどうしようって」
大「……」
那「メンバーの大昇と取り合うのは嫌だなって思ってたから。…でもそうならなくて良かった」
.
.
自分の中の、奥深いところが
マグマみたいな何かでいっぱいになっていくような感覚
.
.
.
那「浮所は俺が守るし、誰にも譲らないってもう決めたから」
.
.
.
イライラして
もやもやして
.
.
.
浮所のことを
那須にだけは
取られたくない
と
その時初めて思った
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rin(プロフ) - 清良さん» コメントありがとうございます。まだ書き方が掴みきれていなかったのですが、そう言っていただけるととても嬉しいです。次の作品も考えています。よろしければまた読みに来てください！ (2019年3月16日 18時) (
レス) id: 65dffffafa (このIDを非表示/違反報告)
清良(プロフ) - 完結おめでとうございます！初作品とは思えない程、表現がかっこよくて読みやすかったです！続編書いてください！ (2019年3月10日 21時) (レス) id: 7cb81e8898 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - みやびさん» 初めまして。コメントありがとうございます！不定期で気まぐれな更新ですが、暇つぶしくらいになってくれていたらいいなと思ってますが、文章褒めていただいて幸せです！ (2018年12月20日 2時) (レス) id: 11a55799f0 (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - はじめまして！いつもこっそり読ませていただいていましたがコメントします、！いつも更新すごく楽しみにしてます（ ; ; ）rinさんの文章とっても好きです。これからも楽しみにしてます！ (2018年12月19日 15時) (レス) id: c306464e9e (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - ほのかさん» 初めまして。コメント残してくださってありがとうございます。お楽しみいただけて嬉しいです！ (2018年12月5日 3時) (レス) id: 65dffffafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rin | 作成日時：2018年10月16日 4時
