016___H. ページ16
冷えピタが、スローモーションみたいに
俺の手から落ちる
.
浮「たいしょう…？」
大「……」
.
鳴り続けていた那須からの着信は
しばらくすると、パタリと止まって
俺と大昇だけの部屋は、水を打ったように静まり返った
.
浮「え…どした…？」
大「…いまは」
.
ぎゅうっと掴まれた手から
熱すぎるくらいの体温が伝わってきて
なんだか俺まで、熱くなってきた気がして
.
.
.
大「今は…俺以外の奴のこと、考えないで」
.
.
.
その
まっすぐな目が俺だけを映すから
.
.
.
浮「へ……？」
.
無意識に
目を逸らしてしまった
.
.
.
浮「…え、と……」
.
.
あれ
なんか変だ
掴まれた手だけが熱いはずなのに
.
.
浮「……う…ん、わか、った」
.
.
大昇の熱がうつったみたいに
顔も頭も溶けそうに熱くて
心臓が、うるさい
.
.
浮「あ…冷えピタ、貼り直すね」
大昇の膝に落ちた冷えピタを取って
その前髪に、そっと触れる
.
大「ありがと」
.
新しい冷えピタを額に貼った大昇が
ふわん、と
熱のせいか、俺の知らない柔らかい笑みを見せて
.
浮「…あ、あそうだ、ゼリー！ゼリーね、買ってきたんだった、食べる？」
.
.
なんかさっきから変だ
大昇と、目を合わせられない
俺って普段
どうやって大昇と喋ってたっけ
.
.
大「うん、食べる」
浮「そか！うん！待ってね…あ、スプーン入ってないや、ちょっと借りてくるね！！」
.
.
逃げるように部屋を出て
閉めたドアに背をつくと、大きく深呼吸をした
.
.
浮「なんだ、これ……」
.
.
未だ、収まらない熱と
煩いほど跳ねる心臓に
思わず、小さく声が出た
.
“まだ龍我と買い物してる？俺も合流していい？”
.
ポケットの中のスマホが震える
浮「……」
その画面に、那須からのメッセージが表示されて
.
.
.
『今は…俺以外の奴のこと、考えないで』
.
.
.
浮「……すみません！スプーン借りてもいいですか？」
.
俺は画面を消して再びポケットに突っ込んで
.
浮「ごめんね、お待たせ！」
.
ポケットの中でまたスマホが震え出すのを無視して
大昇にスプーンを手渡すと、ゼリーの蓋を開けた
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rin(プロフ) - 清良さん» コメントありがとうございます。まだ書き方が掴みきれていなかったのですが、そう言っていただけるととても嬉しいです。次の作品も考えています。よろしければまた読みに来てください！ (2019年3月16日 18時) (
レス) id: 65dffffafa (このIDを非表示/違反報告)
清良(プロフ) - 完結おめでとうございます！初作品とは思えない程、表現がかっこよくて読みやすかったです！続編書いてください！ (2019年3月10日 21時) (レス) id: 7cb81e8898 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - みやびさん» 初めまして。コメントありがとうございます！不定期で気まぐれな更新ですが、暇つぶしくらいになってくれていたらいいなと思ってますが、文章褒めていただいて幸せです！ (2018年12月20日 2時) (レス) id: 11a55799f0 (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - はじめまして！いつもこっそり読ませていただいていましたがコメントします、！いつも更新すごく楽しみにしてます（ ; ; ）rinさんの文章とっても好きです。これからも楽しみにしてます！ (2018年12月19日 15時) (レス) id: c306464e9e (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - ほのかさん» 初めまして。コメント残してくださってありがとうございます。お楽しみいただけて嬉しいです！ (2018年12月5日 3時) (レス) id: 65dffffafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rin | 作成日時：2018年10月16日 4時
