015___H. ページ15
部屋のドアをコンコン、とノックされると
「なにー？」と、その向こうで聞き慣れた声がした
.
大「は、浮所！？」
.
大昇のお母さんに案内されて、部屋に入ってきた俺に
ベッドを飛び起きた彼の額から、冷えピタが落ちて
.
浮「どう？体調」
.
落ちたよ、と冷えピタを拾って
その額にもう一度貼り付ける俺を
大昇が、ポカン、とした顔で見る
.
大「いや、どうって…なんで俺が風邪引いてること…ってかなんで急に家まで」
浮「龍我に聞いた。大昇が風邪引いて遊園地行かないかもって」
.
学校帰りに、龍我の買い物に付き合ってる最中
「そういえば大昇、風邪引いてるっぽいよ」
そう、龍我から聞いて
気づいたらその足で、大昇の家に向かっていた
.
大「龍我か…、で、なんでその、家まで？」
浮「傘。明日遊園地の時に返そうと思ってたから」
大「なんだ…そんなの、いつでもいいのに」
.
俺から顔を背けて、ゴホゴホと咳を何度かした大昇が
「ありがと」と自分の口を腕で覆って、俺が差し出した折りたたみ傘を受け取る
.
浮「もうそれ乾いちゃってるね。新しいのは…あ、これ？使っていい？」
大「いいよ、自分で貼るし」
浮「貼ったげるよ〜」
大「いいって…あんま近づいたらほら、うつるかも」
.
浮「…ごめんね」
ベッドサイドにあった新しい冷えピタのフィルムを剥がしながら呟くと
大「うん？なにが？」
大昇が自分のリュックの上に狙いを定めて、傘をポンっと投げた
.
浮「この間、ほんとは傘これしか持ってなかったんだよね？」
.
その
俺の言葉に、彼はそれ以上なにも言わなくなって
.
浮「さっき、大昇のお母さんがね。大昇この間の雨の日、びしょ濡れで帰ってきたから熱出したんだって」
大「……」
浮「遊園地行けないの俺のせいだね、ごめん」
.
ベッドに座る大昇の俯く顔を覗き込んで
浮「はい、貼るからこっち見てー」
その額に手を伸ばす
.
.
.
その時
.
浮「ん…？あ、待って。ごめん、那須から電話」
.
着信音と共に画面に表示される那須の名前に
大昇へ伸ばしかけた手を下げた
.
.
.
浮「えっ…、！！」
.
.
.
瞬間だった
その俺の手を
大昇の熱を持った手が掴んだ
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rin(プロフ) - 清良さん» コメントありがとうございます。まだ書き方が掴みきれていなかったのですが、そう言っていただけるととても嬉しいです。次の作品も考えています。よろしければまた読みに来てください！ (2019年3月16日 18時) (
レス) id: 65dffffafa (このIDを非表示/違反報告)
清良(プロフ) - 完結おめでとうございます！初作品とは思えない程、表現がかっこよくて読みやすかったです！続編書いてください！ (2019年3月10日 21時) (レス) id: 7cb81e8898 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - みやびさん» 初めまして。コメントありがとうございます！不定期で気まぐれな更新ですが、暇つぶしくらいになってくれていたらいいなと思ってますが、文章褒めていただいて幸せです！ (2018年12月20日 2時) (レス) id: 11a55799f0 (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - はじめまして！いつもこっそり読ませていただいていましたがコメントします、！いつも更新すごく楽しみにしてます（ ; ; ）rinさんの文章とっても好きです。これからも楽しみにしてます！ (2018年12月19日 15時) (レス) id: c306464e9e (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - ほのかさん» 初めまして。コメント残してくださってありがとうございます。お楽しみいただけて嬉しいです！ (2018年12月5日 3時) (レス) id: 65dffffafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rin | 作成日時：2018年10月16日 4時
