後輩の岸くん

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菊池今日先飯食っといて



お昼休憩になる頃
菊池からLINEの通知が届く




朝から松島くんと出回りに出ていて

確かお昼には帰ってくる予定だったはず






たぶん 色々手こずってるのだろう







名前了解
名前頑張れ







「菊池先食べててって」


「あれっ ふーまくんどしたんすか？」


「出回りだけど… 多分手こずってるぽい」


「あーーー なるほどっすね」






新年度になって二週間


お昼は
岸くんと菊池と３人で食べるのが日課になっている




菊池不在で
岸くんとふたりなのは初めてのことだ









「おお〜 蕎麦っすか！いいっすね〜〜」



「そう？」



「俺 蕎麦めちゃくちゃ好きなんすよ！」





子供みたいに無邪気な笑顔で
そう言う岸くんはというと


相変わらず 毎日手作り弁当だ









「……そんなに見ないでよ(笑)」



よほど蕎麦が好きなのか
麺をすする私をじーーっと見つめる岸くん






「あっ、さっせん、つい…」



「そんなに好きなんだね」



「はい！

駅前に老舗の蕎麦屋あるんすけど
あそこのは ダントツで美味いっすね〜」




「へ〜知らなかった！」




「あっ、じゃあ今度行きます？」




「え？なになに岸くんの奢り？」





そう言ってニヤッとしてみせると

明らかに え！ と驚いている岸くん







岸くんとの距離も少しずつ縮まっていて

最近は イジったりもしているくらい




…菊池ほどじゃないけどね？









「うぉっ マジっすか！えっと…」



「うそうそ、冗談！ 今度連れてってよ」




私がそう言うと



さっきまで嬉しそうに話してたのに

急に 真剣な顔になってフリーズしている岸くん







あれ、 冗談きつかった？

そう思って心配していると









「俺 奢ります！」


と 急に大きな声を出す





「いやいや冗談だって、大丈夫だよ？」








「いや奢ります！

奢るんで、その……先輩とふたりがいいっす！」








箸を置いて
姿勢をこちらに向けて正したかと思えば





深呼吸した後

少し緊張したように 真剣な表情でそう言う









「あはは、そんなかしこまらなくてもいいのに」



私が笑うと





「ちょ、俺は真剣っすよ？！」


と 若干焦っている様子









ふたりがいいって言ってくれたのも

勇気を出してそれを言ってくれたのも




嬉しくて つい頰が緩んでしまう









岸くんと
もっと仲良くなりたいな、なんて

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