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第四十一話 願い。 side千優 ページ43

「……お母さん、お父さん。」

私が語りかけるのは、紛れもなく“死 ん だ 両 親 の お 墓”。

あぁ、懐かしいなぁ、何もかも。

全てが終わって、全ての始まりだった日。

二人が幸せそうに、哀しそうに落ちて行った最悪の日。

……そんなあの日から、今はもう三年もたった。

両親は幸せそうに他界して、お祖母ちゃん、お祖父ちゃんも寿命で他界。

……ルカはまた行方不明。

お兄ちゃんは、暁の息子だとすべての人に知られているから殺された。

……ヨウ兄は……自 殺。

……あの日から全部全部変わった。

……私の家族は、もういない。

血のつながった家族は、誰ひとり残ってない。

……あぁ、最悪で最低な悪夢だった。


「千優。」


それなのに。


「……っ、ぐすっ……っ、な……にっ……?」


悪夢は


「全部終わっただろ……?」


最悪な家族の死は


「……だから、俺と付き合って」


最愛の人の温もりに変わった。


「……はいっ……!!」


私はもう、21歳になった。

渉は、25歳。

血のつながった家族はもう居ないけど、

一年前……かな。

……血のつながってない人と家族になりました。

……うぅん、なんていうのかな……


「お母さん、お父さん。私ね、渉と結婚したの。すごく幸せだよ。」


短くて速かった、最悪の優しい夢。

……全部渉のおかげ。


「もう。なのに、結婚式見る前にみんないなくなっちゃうんだもん……」


「でもね、もう泣かないよ。下もむかない。突き放さない。私、決めたの


 ちゃんと、支え合って幸せに生きていくって」


お母さんとお父さんとは違うけど、

私は自分の力だけじゃなくて、

周りのみんなと支え合って、幸せに生きていくんだ。


「だから、同じところに行ったら、たっくさん褒めてね! 約束だよ?」


「ちひろー?」


お墓に語りかけていれば、遠くから聞こえる渉の声。


「は〜い!!」


……小さな幸せと、大きな愛。

もう、偽物にならないように。

もう、雪みたいに儚く散ってしまわないように。

……私は、生きていくんだ。


「もうすぐなのに一人で出歩くなよ……」

「ごめんね? でも、楽しみだなぁ……」

「……そうだな。でも、無理はするな! いい!?」

「分かってるって」


過保護な私の大好きな最愛の人。

そして、もうすぐ浮かぶ小さな光。


私は小さく微笑み、

今日も一歩を踏みだした____



千優編、fan,

第四十二話 もう一度「歌ってみてよ。」→←第四十話 落ちた。そして堕ちた



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設定タグ:歌い手 , 合作 , ミミックスノー   
作品ジャンル:恋愛
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真美む目も - あ。見ちゃだめだったっぽいね。 (2017年3月8日 17時) (レス) id: 17d230bb65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅色の空&そらうさぎ x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月6日 19時

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