第三十九話 愛。 side千優 ページ41
「……おか……さま……おと……さま……?」
「……ごめんね、千優。ごめんなさい……本当はっ……本当はねっ……」
……久々に感じる、ふわっとした暖かい香り。
……お母様と、お父様に抱きしめられてるの……?
「すまない……。本当に……ごめんな……千優……」
「……どうして? お母様、お父様、なんであやま、」
「千優」
言葉の続きをお父様に遮られる。
お父様に視線を向けると、辛そうな悲しそうな……
そんな優しそうな目で私を見つめ
威圧感を漂わせていた。
「……私たちのことは忘れて。難しいかもしれないけれど、こんな親のことは忘れて幸せになって欲しいの」
……え?
お父様とお母様を……忘れる……?
「いやです……ッ!! 私、お母様とお父様とやり直したい……!!」
「……千優。それは私たちもなんだ。だが……私たちは罪を抱え過ぎている。」
「千優。あなたを暁というこを知ってる極僅かの人間だけ。暁を隠して、幸せになりなさい」
「お母様っ、ねぇ、お父様!! 何……言ってるの……」
暁を捨てて幸せになれ?
……いやだよ、
お母様と、お父様とやり直したいの……
五人で楽しく……
家族らしく過ごしたいだけなのに……
「そこの君」
「はい、なんですか」
「……千優を頼むよ」
「……もちろんです」
「これなら安心ね。千優、私たちを許さなくていいの」
……お母さま……
「……だから、幸せになってね」
「おか……さま……」
儚げに笑ったお母様。
お父様とお母様はゆっくりと私を抱きしめていた手を放すと、
窓へと向かって歩き出す。
……っ、ここは三階……!!
「いやっ、お母さん、お父さんッ!!!!」
二人はもう一度儚げに笑って……
窓から飛び降りた。
「お母さんッ!!!! お父さんッ!!!!」
「っ、おい千優!! お前まで行こうとするな!!」
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真美む目も - あ。見ちゃだめだったっぽいね。 (2017年3月8日 17時) (レス) id: 17d230bb65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅色の空&そらうさぎ x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2017年3月6日 19時