第十九話 幼い時に見た物 side千優 ページ21
私とお兄様が生まれた8月9日。
お父様とお母様は喜びと憎しみ半々でお祖父様とお祖母様は、喜びで一杯だったんだって。
お兄様の名前は、母がつけた。名前は、昴。理由は、星のように輝いて欲しいから。
私の名前は、祖母がつけた。名前は、千優。理由は、自ら前進する優しい子でいて欲しいから。
最初はね、父が私の名前を付けようとしたの。名前は、眞。災いにより命を落とした死者のこと。
匕は逆さになった人の死体を表し、県はその死体から垂れ下がった髪の毛を示す。
お母様とお父様は名前の色々な意味を知ってる。
つまり、私は最初から望まれない子だったんだ。最後に思い出すくらい、許してください。
物心ついたときから、私は暴力を振るわれていた。そう虐/待。
私はイラナイ子。忌子。髪の色も目の色も家族のみんなと違う。
幼稚園でも、仲間外れ。先生も見て見ぬふり。私の支えは、一つだけ。それは、幼馴染の実。
いつも、話を聞いてくれた。そして、小学生になった。みんなからは虐/めにあった。
色々な種類の虐/めに。それでも、変わらずろんは幼馴染で親友でいてくれた。
家では、人形扱いされ、失敗すればするほど傷つけられていた。
お兄様は、私と違って愛されていた。
私は、体のほぼ全体に包帯を巻いている。それはすべて酷くて深い物ばかりの傷を隠すため。
苦しかった。泣きたかった。死にたかった。でも、実やお祖母様やお祖父様が支えてくれた。
私を嫌っていたから、いい子でいなきゃ。その一心でなんでも頑張っていい子でいた。
でも、態度は何一つ変わらなくて。失敗したら、暴力を振るわれる毎日。嫌だった。
中学生になったある日、同級生に路地裏に呼ばれた。
勿論、内容は虐/め。いつもより酷くて痛かった。そんな時、彼方さんに逢ったんだ。
虐/められていたのを助けて貰ったり、親たちから守ってくれたりした。
実と彼方さんには、何一つ恩返しできないまま死ぬ。
侑李さん、渉、優、翔太くんは、私を守って支えてくれた。
真冬くんは、私と同じ体験をしたから、一番よく分かってくれた。
お祖母様とお祖父様とお兄様は私を愛してくれた。それだけで、私は嬉しかった。
ありがとう
私は、頬を伝う涙を払って湖に飛び込む準備をした。
「せーので」
「「ピョン」」
え? 誰かとピョンが被った。聞き覚えのあるハイトーンボイス。
最後に見たのは、私と一緒に飛び込んだであろう
翔太くんだった。
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真美む目も - あ。見ちゃだめだったっぽいね。 (2017年3月8日 17時) (レス) id: 17d230bb65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅色の空&そらうさぎ x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2017年3月6日 19時