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その後、小学生を家まで送り届けると、圭がいぶいぶを見ながら言った。
「とりあえず全員私の家来い。駅前だから。そこで体拭いて、Eveは手当な。」
「え?」
「え?じゃねぇ。無理してんのがバレバレなんだよ。足首、捻ってんだろ。」
確かに、さっきからいぶいぶの歩き方には違和感があった。
「やっぱり!!無理しないでって言ってるでしょ!?天月くんEveの荷物持って!Eveは僕の肩貸すから、無理せずに歩く!」
「う……はい…」
Souくんが捲し立て、駅の方へ先に向かっていく。
圭の家は一軒家だった。
とりあえず玄関でタオルを渡される。
ある程度体を拭いたところで、圭はいぶいぶの手当を素早く済ませ、あたしたちに傘を二本渡した。
「使える傘がこれしかねぇから、二人で一本な。Eveはこれ以上無理すんなよ。」
「圭ありがとう!!」
「ごめん…ありがとう。」
「謝るな。お礼もいいから、風邪引く前にさっさと帰れ。」
そう言ってあたしたちを追い出す。
ガチャンッ、と閉じられた玄関を見て、Eveは呟く。
「圭、怒らせちゃったかな………」
「大丈夫だよ、圭は理不尽に怒る奴じゃないから。」
そう言ってツッキーが励ますも、いぶいぶは暗い顔のまま。
そういえば、さっき圭がいぶいぶに向かって叫んだ時、圭は何かに怯えているような表情をしていた。
そして雨の音で聞こえなかったけど最後に何かを呟いた。
あれは、何だったのだろうか。
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作者名:ふゆち | 作成日時:2021年3月27日 2時