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駅まで歩く道は一人だととても長いのに先輩と一緒だとあっという間だった。学校から駅前に行くまでには沢山の人が街を行き交っている。帰宅を急ぐサラリーマンや短いスカートで騒ぎながらフラペチーノを手に持った同じぐらいの歳の女子。子供連れや自転車を漕ぐ中学生、幸せそうに歩くカップル諸々。車の通行量も増えて賑やかで華やかな街はクリスマスで浮かれ上がっていた。

「いっぱい人いますね」

「クリスマス前だからかなぁ」

はぁ、と付いたため息は白く目に見えた後に外気に紛れて消えていく。マフラーに顔を埋めた先輩の鼻先が赤くてトナカイみたいだと思った。流石にそんなことは言えないけれど。

何を言わなくても車道側を歩いてくれるし、会話が途切れてもなんとなく温い空気が漂って居心地が悪くなることもない。先輩の雰囲気がすきだ。
すれ違うお店を眺めながら足を進めていれば、木造のこじんまりとしたケーキ屋のショーウィンドウに並ぶケーキに目がいった。ホールのショートケーキやフルーツタルト、ピース売りのチーズケーキやティラミス、プリンなど沢山並んでいて、思わず声を上げてしまう。

「わぁ!めっちゃおいしそうじゃないですか?」

「ほんとだ、めっちゃおいしそう」


きらきらと輝いた瞳のわたしが窓ガラスに映って恥ずかしくなる。肩を竦めて先輩を見上げれば微笑んでわたしの手を取ってから自動ドアをくぐった。その仕草が酷く自然で驚く。いきなりのこと過ぎて振り払うことも出来なかった。まあ、きっと振り払うことはないけれど。寒暖差で熱くなる頬で誤魔化せてよかった




「先輩、ブッシュド”ノエル” ですよ」

「あ、今 呼び捨てで呼んだでしょ?」


恋人がするような会話に笑みが零れる。繋がれたままの手を離してほしくないと願うのは先輩も同じだったらいいな。食べたことのないクリスマス限定のケーキの味を想像する。きっと甘くて、やさしい味



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(プロフ) - mm.さん» ありがとうございます。楽しんでいただけてとってもうれしいです* (2021年4月29日 18時) (レス) id: 2908e82d36 (このIDを非表示/違反報告)
mm. - 久しぶりにこころが震えました。他の作品とはまた違って私が求めていた世界観。最高です。続き楽しみにしてます。 (2021年2月25日 13時) (レス) id: 44e01e6971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mam | 作成日時:2021年1月26日 20時

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