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先輩に出会ってから一ヶ月が経とうとしている。クリスマスが明日に迫った今日、クラス中はなんとなくむず痒さを感じている。彼氏彼女と過ごす人、クリぼっちだと嘆く人、友人とクリスマスパーティを企画する人、そして特に何も気にしてない人。
わたしは一番最後の人、つまりクリスマスだからなんだという女子高生にしては冷めた奴だ。だからバイトを入れてやった。明日は混むだろうな、そう思うだけで心が折れそうだ。
進む足はいつも通りに図書館へ向かう。まるで脳にカーナビがついてるみたい。わざとらしくスリッパをぱたぱた鳴らして引戸を開ける。中にいつもいるのえる先輩の姿は見えなかった。先輩に出会った時のことを思い出す。そういえば一番右、本棚の死角にいたんだっけか。
覗き込んでみても誰もいなかった。いつも先輩が先にいてAちゃん、お疲れ様って言ってくれる、その環境がわたしには当たり前になっていた。でもそれが無いだけで心にぽっかりと空いたように、寂しい。先輩の席をひとつ開けて座る。伸びをしてみたり、前髪をコームで梳かしたり、脚をばたばたさせてみたりしたけどこの胸の寂しさは無くなることは無い。
｢・・・のえる先輩｣
結局いつものように突っ伏す。先輩の名前を呼んでから顔を埋めた。熱くなる頬が先輩に恋しているという事実をじわじわと肯定していく。
高校に入って初めての恋は同級生じゃなくて先輩だった。携帯小説みたい漫画みたいで密かに憧れてた恋に溺れていく感覚。
｢・・へへ、｣
グレーのカーディガンの裾を伸ばして赤くなっているだろう緩んだ頬を包み込む。舞い上がってバカみたいだけどそれでも良い。きっとクリスマスでそわそわし始めた同級生よりも浮き足立ってる。
早く来ないかなぁ、のえる先輩。
待っていられそうになくてさっきの姿勢に逆戻り。目を閉じて先輩のあの軟らかい香りを待つことにした。目を閉じてもきらきらと星が瞬いて見えるのはなんでだろう
…
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‥(プロフ) - mm.さん» ありがとうございます。楽しんでいただけてとってもうれしいです＊ (2021年4月29日 18時) (
レス) id: 2908e82d36 (このIDを非表示/違反報告)
mm. - 久しぶりにこころが震えました。他の作品とはまた違って私が求めていた世界観。最高です。続き楽しみにしてます。 (2021年2月25日 13時) (レス) id: 44e01e6971 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mam | 作成日時：2021年1月26日 20時
