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冬と川島如恵留 ページ20

winteR


体を切り裂くような冷たい風が強く吹いている。勝手に震える歯がかちかちと口内で響いてうるさくて、唇を噤んだ。ストッキングで覆われた膝を擦り合わせて、温もりを生み出そうとしてもなんの意味もなくて、また勝手に歯がぶつかり合う。

「さっむい、」

午前授業だというのに授業の資料作成で15時まで居残らなければならなかった。へろへろになったまま、学校内の自販機で買った缶ココアを掌で囲んで息を吐く。外は水を含んだ雪が外気を覆って気温を急激に下げていた。これじゃ外に出れそうもない、そう思って抱えていたファイルを持つ手を強める。

親に頼んで車で迎えに来てもらおう、それまでは図書館にでもいようと誓って足を目的地まで進める。あそこは温かくて静かで居心地も良い。


図書館の重い引戸を開ける。暖かい温度を持った風が頬を撫でて寒暖差にじわじわと熱を持つのを感じた。静まり返った図書室には数えられないほど多くの本がある。どこの場所かも知らない県の地方新聞からティーン雑誌、漫画、小説、ラノベ、昆虫図鑑諸々。きょろきょろと見渡してみてもいるのはカウンターで突っ伏して寝ている図書委員だけ。司書さんもどこか行っているみたいだ。なんとなく一番左端の椅子を引いて持っていた荷物を下ろした。

それにしても、静かだ。カウンターから離れているにせよこんなに静かだと幽霊のひとつでも出るんじゃないかと心配になる。これはわたしの性格。
どんな本があるのかも気になったから一周してみることにした。ぐるぐると回って気になった本を手に取って捲ってみたりこの前実写化された映画の原作に手を出してみたりとまったり時間を過ごしていた。



最後に死角の多い本棚を見て回る。ここは外国語で書かれた物語が置かれているようで、厚い背表紙を指でなぞりながら巡る。左に曲がろうとしたその時、人影が


「わっ、」






幽霊だ!




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(プロフ) - mm.さん» ありがとうございます。楽しんでいただけてとってもうれしいです* (2021年4月29日 18時) (レス) id: 2908e82d36 (このIDを非表示/違反報告)
mm. - 久しぶりにこころが震えました。他の作品とはまた違って私が求めていた世界観。最高です。続き楽しみにしてます。 (2021年2月25日 13時) (レス) id: 44e01e6971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mam | 作成日時:2021年1月26日 20時

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