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結局ボトルのミルクティーは売り切れてるし、憂鬱な気持ちを引きずったまま数学の問題集を解いていく。範囲は多いし、数式は難しいのばっかりだし頭が痛くなるような文字列も何度も解けばスラスラと赤いシャーペンが踊り始める。時折先輩を盗み見ながら進めるテスト勉強は、捗るけど捗らない。どきどきと胸が高鳴って、耳の硬いところからじんわりと熱が持つ。所詮恋心を抱えたわたしは、真剣そうにスマホを見つめる先輩に用事がない限り、声をかけることも出来ない。

ちらちらと動く視線はなぜ相手に察知されてしまうのだろうか。三度目で動かした視線を先輩に掴まれる。

「なにみてんの 」

「 う、別に なんでもないです」

見よう見まねでやってみた下手くそなペン回しはこんな時にだけ成功するんだ。くるりと親指と人差し指の間で回って手元に返ってくる。こういう肝心な時先輩はわたしを見ていない。


「あっそうだ Aはさ、文化祭でなにやんの?」

「クレープ屋です 先輩は?」


「えー、内緒」

口元に人差し指を持っていくその仕草は、いじらしくて子供っぽくてでもかわいくて、先輩は罪だ。そこらの着飾った女子高生よりもかわいくて、魅力的。

三年生は毎年大体育館で演劇を披露するのがこの高校の文化祭のお決まりで、先輩は今年その演劇で主役をやるんじゃないかとクラスの女子たちが騒いでいたのを思い出した。
そうだ、もうすぐ文化祭が近いんだ。秋の匂いと木枯らしが吹き始めたらすぐにこのイベントがくる。わたしにはあんまり縁がないし、ただのイベントのひとつに過ぎないけれど。


それにしても、先輩のクラスは一体何をやるんだろう。

美女と野獣?
シンデレラ?
最近流行りのアニメーション映画のオマージュ?


たくさん候補はあるけれど、どれも先輩に似合いそうで想像して思わず甘い気焔を吐いた。



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(プロフ) - mm.さん» ありがとうございます。楽しんでいただけてとってもうれしいです* (2021年4月29日 18時) (レス) id: 2908e82d36 (このIDを非表示/違反報告)
mm. - 久しぶりにこころが震えました。他の作品とはまた違って私が求めていた世界観。最高です。続き楽しみにしてます。 (2021年2月25日 13時) (レス) id: 44e01e6971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mam | 作成日時:2021年1月26日 20時

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