ブルーハワイと侍 (ページ4)

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赤桃ページ4

sweetY

:knp

｢あっ、こんぴおはよ！｣

朝から大きすぎる琳寧の声に肩を竦める。このデカさの声は流石に心臓に悪い。まぁ、わざとでは無いだろうから仕方の無いことだけれども。いつもなら大層賑やかな楽屋には琳寧しかいなかった。

｢…はよ｣

ゲームをしてたようで白いイヤホンのコードを抜いたあと、パイプ椅子から立ち上がり俺の方へズカズカと近付いてくる。息する間もなく縮められた距離に胸が跳ねた。驚きで広がった視界に琳寧の無表情がいっぱいに映り込んで、瞬きを大きく二度する。

｢っえ、なに｣

｢うーん｣

身長差を埋めるように顔を覗きこまれてドキマギ、一歩だけ後退りする。その一歩を詰めるように琳寧の足が一歩前へ出る。数回繰り返したのちとうとう背中に俺が入ってきた扉がぶつかった。もう逃げられない、別にどこに逃げようって訳でもないけれど。普段誰にもこんな変な絡み方しない琳寧が、よりによって俺に仕掛けてくるなんて思いもしなかった。どうしたらいいか分からなくてただ目の前の彼を見つめる。

｢こんぴいい匂いするんだよね｣

｢香水の匂い？｣

｢それもあると思うんだけど、なんか｣

その後の言葉はわからなかった。だっていきなり腕を引かれ、たった今、琳寧の胸の中にいるから。バックが床にべしゃと音を立てて落ちる。訳わかんない、どういうこと、疑問が次から次へと湧き上がって同時に熱がどこかからせり上がってくる。しっかりと背中に回った腕を剥がそうと暴れてみるけど当たり前のようにビクともしなかった。

｢なに、りんね、離して｣

｢んー、もうちょっとだけ！｣

おいしそうな匂い、耳元で掠った琳寧の声に耳全体がマグマのように熱くなる。きっと、いつか溶けて取れてしまうんじゃないかと心配になるぐらい真っ赤になってるだろう。正面から抱きしめられている恥ずかしさに震えた腕を、思い切って琳寧の背中に回そうとして

｢…てかさぁ、あっ、こんぴおはよ｣

｢お、はよ｣

大光と嶺亜が楽屋に入ってきた瞬間に、光の速さで琳寧からすり抜けて距離を取る。絶対ぎこちなかったと思う、でも今はそんなのどうでもいい。落としたバックをふんだくって一番奥の椅子に乱暴に腰掛けた。琳寧は俺となんて何も無かったかのようにふたりの会話に参加している。

…てかなんで俺、琳寧の背中に手回そうとしたんだろう。

最初は抵抗してたそれなのに、なんで

考えてみたけど答えなんか出るはずもないから、時間まで少し寝ることにする