10 ページ14
麗様の御葬式。
色んな人が泣いていた。
肝心の朱雀様は、心ここにあらずという感じだった。
久遠様や他の使用人たちはバタバタと忙しそうだった。
龍崎家も参加した。
私と凛以外は家に帰ったが。
朱雀「………」
『朱雀様…』
朱雀「……今日は母の葬式に参加していただき、ありがとうご
ざいます。」
『朱雀様、私から一つお話が。』
朱雀「何でしょう」
『麗様についてです。』
朱雀「!!」
朱雀「母上がどうかしたのですか?」
『あの日、私が朱雀家にお邪魔した日、麗様はあるお話をし
たんです。』
『私は長くないと麗様は言っていました。』
『ですがその後、朱雀様には笑顔でいてほしいと言っていま
した。』
朱雀「母上が……?」
『ええ。』
『でも、今は泣いてもいいじゃないですか?』
『ここには私しか居ませんし。』
『はい』
私は両手で朱雀様を抱きしめた。
朱雀「あ、あの」
『泣いていいですよ。 ずっと我慢してましたもんね。』
朱雀「グズッ」
朱雀様はそれから10分程泣いた。
高校生になって「王子」と呼ばれる朱雀様はきっと、自分の苦しみを言える人はそんなにいないだろう。
だったら私が友達として、婚約者として、それになろう。
目立ちたくないけど。
泣き止んだ朱雀様はすべきことをすると言って、久遠さん達の手伝いをしにいった。
『私も帰ろうかな。』
そこに凛が来た。
凛「流石、お嬢様ですね。」
『何が?』
凛「いえ、何でもありません。」
『? そう。』
『帰りましょ。』
凛「ええ。」
この行動がきっかけに私の、龍崎朱奈の人生が変わって行くなんて思いもせず、私たちは家へ帰った。
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うい丸 | 作成日時:2022年6月19日 13時