覚悟が出来れば･Lily ページ9
｢なぁ、明日も仕事なん？｣
ベッドで半分寝ぼけている私に話しかけてくる
『ん、仕事よ、だから寝さして』
｢何時から？｣
『んっとー、たしか8時半くらいだと思う』
｢……俺も一緒に起きる｣
『そう、じゃもう寝よう。』
｢…わかった｣
明らか不満そうな顔をしてモゾモゾ寝に入ってくる
私は半強制で相手の胸の中に収まり、ため息を着く
ため息に気づかれたのか強く抱き締められ
ギブアップ、とトントンすると力は弱まる
安心したように寝始めたこの人は
寝ている間は天使みたい顔をして
起きている間は自分の感情は表に出さず
夜になると子供みたいに甘えてくる
ずるくて、賢くて、どこかの神話に出てきそうなくらい、不思議と女の子に好かれる
今みたいに甘え上手で言葉にしなくても自分の言いたいことを伝えてくるようなずる賢さも
理由を聞いて不満そうにしても自分の意思は伝えてこない
ズルくも見えるし優しいとも捉えられるこの人は私がどう足掻いても読めない
私のことが好きなんだろうか
それともただキープしておきたいだけなんだろうか
将企は｢Aの事、本気で愛してる｣
なんて言うけれど
嬉しいけれど
やっぱり心の奥で疑ってしまう
バイト先で出会った芸人の卵だった
一方的に好意を寄せられたけど当時の私には彼氏がいて断る形にしたけど
無性にモテる将企はバイト先までファンが来る事もあって
この人は私に本気なんかじゃない。
と流して見たりしたけれどあれから何年経っても
｢好き。｣
｢返事なんていくらでも待つ｣
｢愛してるから。｣
なんて言葉だらけ
こうして家に泊まりに来る時も手は出してこないしただ一緒に寝るだけ
私はいつまでたっても…
朝起きると珈琲の匂いに誘われてリビングに向かう
寝癖をつけた将企に聞く
『なんで私の携帯の着信、拒否してるの？』
携帯の赤字になってる《奏》の画面を見せながら椅子に座る
｢Aまだ寝てたから起こさないように。それだけ｣
『仕事の連絡だったらどうするの？』
｢そいつ、元カレやろ｣
『なんであんたがそんなこと知ってんの？』
｢バイト先に来てたから覚えとる｣
『よくそんなこと覚えてたね、尚更将企が拒否していい理由ないでしょ』
｢ある｣
『どこに？』
｢俺はAが好きやから、奏だかなんだか知らんけどそいつの元に戻られたら耐えられへん｣
『…付き合ってもいないんだから』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
uirusu-0(プロフ) - 睡魔さん» 黒詞まで…！ありがとうございます！続けようかなと考えてます！ぜひ続きも呼んでいただければ嬉しいです🙏✨ (2021年11月20日 1時) (
レス) id: d5cf02e88c (このIDを非表示/違反報告)
睡魔 - 黒詞も白詞も両方楽しんで読ませていただいていました！もし続編も書いてくださるならとっても嬉しいです、、！！ (2021年11月19日 3時) (レス) id: 319c338f27 (このIDを非表示/違反報告)
uirusu-0(プロフ) - リクエスト沢山ありがとうございます！少しづつ載せていこうと思います！良ければ読んでいただけたら嬉しいです (2021年6月22日 23時) (レス) id: d5cf02e88c (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - はじめまして。いつもお話読ませていただいてます。リクエストなんですが、嫉妬するとすぐに殴ったりするけどそのあとには優しいみたいなリリーさんみたいです！お忙しいとは思いますがよろしくお願いします！ (2021年6月3日 22時) (レス) id: ef921d6dd3 (このIDを非表示/違反報告)
しおり - リクエストです！年下彼女に甘々なリリーさんみたいです！ (2021年5月23日 1時) (レス) id: a3292cc1ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菌保持者 | 作成日時：2021年4月24日 8時
