monologue Ⅱ (ページ34)

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教会を出たところで声をかけられる。
もしかして、紫耀くんかい？と目尻を下げて笑う。

優しい顔したおじさんの声に、紫耀は目を見開く。

紫「はい、…お久しぶりです」

「すっかり大きくなったねぇ。元気そうで何より。
あの子に会いに来てくれたんだろう？
紫耀くんが来たの知ったらきっと、喜ぶと思うよ」

紫「あ、いえ、その…… 」

あの子… 会いに来た… サッパリわからない会話だが
紫耀の歯切れの悪さを見る限り、会いに来たは
違う気がした。

" あの子 " と呼ばれる子が関係してるかどうかまでは
私にはわかりっこないんだけど。

行ってやって？と、紫耀に念を押すと、
今度は私の方を向いてよろしくねとお願いする。

なんだかわからないけれど、頷いた。

満足そうに笑うと、その場から立ち去って行った。
なんとも掴み所の無い変わった人だった。

けど、全てを見抜いているような、そんな人だった。

『会いに… 行かないの？』

躊躇うように立ち尽くす紫耀の背中を押した。

そうすることが私の役目な気がしたから。
あのよろしくね、にはそんな意味合いを含んでいた。

…なんて言うのは建前だ。

私が背中を押したかった、ただそれだけのこと。

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