monologue Ⅱ (ページ3)

今日:20 hit、昨日:0 hit、合計:114,178 hit

53 ページ3

.

２人で出掛けて行って５時間は経っているだろう。

ここ何日かひとりで居ることが少なすぎるからか
住み慣れたはずの家もひとりだと広く思えて、
時々寂しさを感じる。

２行で終わる日常がたった何日か崩れただけで、
元の生活をこんな風に思うなんて人間は弱い。

寂しさと静けさを紛らわそうとキッチンへ向かえば
賑やかさが戻ってきて、ホッとした自分が居た。

…人間が弱い、のではなく私が弱いのだ。

流「どうした？」

『ううん、…なんでもない』

ただいまのあとに、駆け寄って心配してくれるけど
なんでもないと答えることは承知済みだっただろう。

今日は何作るん？なんてすぐに他愛もない質問をし、
出来るまで片付けしてると顕嵐と別室に行く。
さりげなくテレビをつけてくれる辺りが流星だ。

他の人にはマネできないだろう。
私への対処法… 攻略法を見事にわかっている。

ひとりぼっちにするのではなく
たったひとりだけ家族を残してくれたのは、
神様のせめてもの優しさなんだろうか？

モノクロではなく灰色の世界なのは流星がいるから。

流星の優しさが白と黒しかない色の境界線をボカし、
モノクロより少しだけ温かみのある世界になる。

それで良かったんだ。

これ以上色を取り戻せば、失った時がツラいから。

カラーからモノクロに変わる瞬間を知っている。

…私が一番嫌いで、苦手で、思い出したくない瞬間だ。

.