ネガイゴト (ページ5)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:24,125 hit

5 ページ5

.

トントンと肩を叩かれて、振り向く。
と同時に頬に指がささる。視界には屈託ない笑顔が映る。

好きだと思ってたのは私だけなんだろうなあ。

『こんな古典的なこと久しぶりにやられた』

謙「うん、俺も久しぶりにやった」

『 ………なに？、なんか話でもあった？』

謙「なんかなきゃ話かけちゃいけないのかよ」

ケラケラ笑ってる謙ちゃんの姿はあの日と変わらない。

きっと何年、何十年経っても謙ちゃんの笑顔は
とびっきりのヒマワリみたいに輝いてるんだろうな。

本当はその姿をいつまでも見ていたいのに。叶わない。

『こんなに誕生花が似合う人いるんだね』

謙「あ～それ懐かしいな！顕嵐が文句言ってたやつな」

『謙ちゃんと美勇人くんはいいけど、俺の微妙じゃん
とか言って八つ当たりでグーパンされたもん』

こうやって思い出せばキリがない。

私にとって３人と過ごした日々は大切なもので
どんな些細なことだって鮮明に覚えてる。

高校生活最後の年、４人揃って同じクラスだって
喜んでいたのに。卒業前に居なくなることないじゃん。

「何の話してんの？」ってニコニコしてる美勇人も
もうすぐ居なくなってしまう。

顕嵐のようにどこに行くかも告げずに、勝手に。

.