波打ち際の外伝【赤】 (ページ14)

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白い砂浜に
澄んだ波が打ち寄せる。

「大毅ー！のんちゃーん！」

波の向こうで楽しそうに笑ってる2人に
波打ち際から声をかけると

気づいたのんちゃんが片手を上げ、
2人でこっちに向かってきた。

小瀧「え！Aちゃん去年と水着ちゃうやん！！」

彩「そー！可愛いやろ～！」

小瀧「なんで彩ちゃんが得意げやねん。めっちゃ可愛い！てかセクシー！彩ちゃんも可愛いで」

そう言って笑い合う親友2人に
「やめてやー」なんて照れて応えると、

1人、一番茶化してきそうなヤツの反応がないことに気づいた。

「大毅？」

ふと顔をやると、
なにやら難しい顔をしてる。

小瀧「どしたんシゲ？2人とも可愛いや…」

重岡「ぜーんぜん！なんやそれ。彩ちゃんは可愛いけどな、彩ちゃんは。以上」

そう言って1人でまた海の中に入って行った。

小瀧「ほーんま、子どもやなぁあいつ」

彩「かわいいとこあるやん重岡くん。A、相変わらず愛されて…」

「おい待たんかぁ！！くそ坊主！！！」

彩「あ…」

小瀧「ブチ切れてるわ」

なんか知らんけど
めちゃくちゃ腹が立って

ボードみたいな浮き輪持って
1人で海にたたずむ大毅を追いかけ
肩を掴んで振り向かせる。

「なんやそれってなんやねんクソ大毅！なんか言わん…か……どしたん、あんた」

文句言ってやろうと振り向かせた顔は
まだ夕陽が射してるわけでもないのに真っ赤で。

重岡「見んなや…ボケ」

意味わからんのに、
なぜか私まで顔が赤くなっていくのが分かる。

「な、何赤くなってんねん…もしかして、私の見てドキッとして照れ隠しやったー！とか？」

『そんなわけないやろブス！』と、
いつもみたいに反論してくると思って
高らかに笑いながらバカにすると…

重岡「……」

相変わらず、顔を赤くしたまま
黙り込む。

「な、なんか言ってよ…」

居たたまれなくなって
コメントを促す。

すると、しばらく黙ったあと、

重岡「お前のくせに、ムカつくわ」

「はぁ？」

また訳わからんこと言うから、
今度こそ文句を言おうと思った時。

重岡「可愛いって…言ってんねん」

下唇を軽く噛みながら、
焦ったように
チラッと一瞬だけ横目で私を見て

そう言った。

重岡「もう、あっち行って…」

「う、うん…」

無条件に上がる心拍数…

何、大毅相手にちょっと気まずくなってんねん…