波打ち際の外伝【赤】 (ページ2)

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「うん、うん、じゃあまた電話するね。
はーい。大毅も学校頑張って。

うん、バイバーイ、おやすみー」

画面の赤いボタンを押し、
通話を終了させる。

スマホの画面には
『重岡大毅』の文字と、
その本人が変な顔でピースをしている写真のアイコンが映し出された。

大学進学と同時に地元を離れた
同い年の幼馴染みの大毅とは、

1年以上経った今でも時々電話をしている。

《ピコンッ》

ホームボタンを押してアプリを閉じた途端、
さっきまで話していたアイツからのメッセージの通知が来た。

『重岡大毅: おい、お前がさっさと切るから言いそびれてもーたやないか』

トーク画面を見ると
全く意味の分からんメッセージ。

思わず「はぁ？」と
口にしかけたとき、

《ピコンッ》

『重岡大毅: おやすみ』

新しいメッセージが画面に生み出された。

「『何かと思ったわ。おやすみ』っと」

重岡大毅とは、そういうヤツなのだ。

ガハガハとうるさいアホかと思えば、
時々こんな律儀なところを出してくる。

優しくて顔もまあまあ整ってんのに、
なんでモテへんのかなって

我が幼馴染みながらべた褒めしつつ
余計なお世話の心配をしてみたりするのも日常的だ。