うぎょるぎゅ

31.思わず(KH) ページ31

どうしよう。
Aの笑顔がうれしい。
なんだかもう、愛しい。

あまりにも表情管理に危機感を感じるから、少し冷静になるためにソファに避難し、料理に取り掛かる彼女から目線を外した。

キッチンからガサゴソと材料を出す音、材料を切る音、鍋に火を入れる音、水道の音、・・・・ああ、今どんな顔をしてるんだろう。

対面キッチンだから、少し顔をあげるともう彼女の様子が見える。

見ると、なんだか楽しそうな彼女。
あ、ゆるく笑ってもえくぼが見える。
そのエプロンを選んだスタッフに感謝の意を表したい。
シンプルなデザイン、ナチュラルなアイボリーの、膝の上まであるエプロン。
今日はショートパンツだったから、足が見えてなんだか嫌だったんだ。
いや、うれしいんだけど。
でも、カメラが撮ってる。
僕だけ、見たい。

・・・・変態かっ(汗)

とか思ってると、不意にこちらを見た彼女と視線がぶつかった。

「ん？」
KH「いや・・何も。」

「暇なの？(笑)」
KH「うん。構って。」

あ、しまった、本音出ちゃった。

すると、ごはんを作ってるから無理だと言う。
じゃあ手伝うと言うと、
なんだか意外そうな表情。

む。
なんだ。
僕だって料理ぐらいできるぞ。
いや、できないけど。

そんなことを思いながらAのそばへ近付く。

あ、かわいいな。
考え込むような表情の彼女。
集中すると黙るけれど、口がふにふにしてる。
なんだその顔。好きなんだけど。
今何を考えてるの？

近寄るととても小さい彼女。
ゆるいニットから少しだけ出た肩を見ると、
そこにキスしたくなる。

思わず、後ろから抱きしめた。


・・・・・・・・・・・・・・・・。

あ、・・・・・しまった・・・。


・・・・・・・・・つい。思わず。


急に強張るAの様子が自分の胸のあたりに伝わって、
初めて自分がしてることに気付いた。


・・・・・・・・。

どうしよう。
カメラ回ってるんだった。
(そしてたとえばAと二人っきりでもそんな間柄でもないんだった。)
うわ、もう。

どうすれば。。
誰か、なんか、助けて？


言い訳、考えないと。。。(汗)


色ボケ一色だった自分の頭を、
ステージの上でミスったときぐらいにフル回転させた。

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