うぎょるぎゅ

16.苦しい(KH) ページ16

AにSUPER SHOWのDVDを渡してみた。

夫として妻にかっこいい僕をアピールする。
番組用としては当然の行い。

でも最近の僕には相当な葛藤があって。。。

彼氏がいる子を好きになり、
旦那面をして自分の魅力をアピールするとか。

どうなんだと。

いや、仕事なんだけど。

当然撮影なんだから彼女は僕のパートナーとして、
僕のことを見つめて、僕の彼女でいてくれる。

でも違うんだ。本当は。

本当には僕を好きなわけじゃないんだ。

言い聞かせてないと、
なんだか勘違いを始める思考回路を止められない。

ああ、もう認めざるを得ない。


・・・僕は、Aが、好きだ。


細い手足、きれいな手。
笑うと少し目がさんかくになるところ。

左側にだけ小さくできるえくぼ。

形のいい唇、僕の好きな額。
話すとき、まっすぐに見つめる瞳。

透き通った声、はじけるような笑い声も。


彼女のすべてが、愛しい。


ああ。
この状態で夫婦を演じるって？

そりゃあ素晴らしい演技ができるだろう。

僕は役者じゃないが、
包み隠さず自分の気持ちの通り、動けばいいんだから。


・・・。


苦しい。


今後は、自制心との戦いになりそうだ。


宿舎ではしゃぐヒョンたちを見つめて、心ここにあらずな僕。
ふうっ、とひとつ、ため息を吐いた。

次回の撮影は海外公演と重なり、少し間が空く。


メールを送っていいものか、悩むんだ。
どんな返事が返ってきても、

きっとすごくうれしいし、きっとすごく切ないから。

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