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サイレントモードにしたままのケータイを見ると、......やっぱり、
『着信:れんくん 4件』
『どこにおんねん』
『A、見ろって』
『電話でろや』
『おい』
れんくん、やっぱり心配してる。既読がついたことを確認したのかまたメッセージが届く。かいくんにごめんって1000円をテーブルに置いて走ってお店を出る。かいくんはなにか言いたそうな顔をしてたけど無視しちゃった。明日も会えるからいいかな。
『今、お前ん家向かってるんやけど』
▼
「れんく、!」
「.........」
わたしの家の前でケータイをいじってるれんくん。そこから伸びる黒いイヤホン。わたしの声は聴こえてないんだろう。すぐにドアの鍵を開けてれんくんを呼ぶ。...いつもの怒った顔、眉間にしわをよせた顔をあげる。
「おじゃましまー、す」
お母さんはおとといから旅行でいない。れんくんには伝えてないから私しかいない家に少しびっくりしてる。まぁ仕方ないか。
「お前、さぁ......」
「.........」
言いたいことはわかってる。これから話すことなんて想像つく。ごめんなさいって小さな声で言ってうつむく。テレビも付けてないからこの家には静寂しかなかった。
「......あ、なにか飲む?れんくんの好きなオレンジジュース、あると思うよ」
「おい、」
俯いたままれんくんから逃げるようにキッチンへ向かおうとした、その時だった。わたしの右手首を掴んだ。強く握らずに、優しく。だめだよ、そんなに優しくしたら、逃げちゃうかもしれないのに。
「逃げんなや、俺の前では」
「.........」
「...晩飯作ったるわ、今日だけやぞ」
握った手首を優しく解いてキッチンへ向かう。なんでそんなに優しいの。なんでこんな私を心配してくれるの。学校で作ったエプロンを身にまとった彼はわたしに背を向けて料理をする。ごめんね。いつも迷惑かけて。
「もっと俺に頼れ、お前は溜め込みすぎることが多いんやから」
「......ありがとう」
わたしもキッチンへ向かって、れんくんのお手伝いをする。カレーを作ってくれるらしいけど、昨日もカレーだったんだよねって少し笑って言った。れんくんはこっちを見ずに少しだけ笑った。
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平永 優 - おもしろいですね (2019年1月5日 16時) (
レス) id: bfe14f6fc5 (このIDを非表示/違反報告)
ARMY - すごくおもしろいですw応援してます！更新楽しみにしてます！ (2018年12月10日 23時) (レス) id: ea329e26cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Erie | 作成日時：2018年12月8日 20時
