調査兵団、子育て中です

悪魔とは ページ44

sideA

なんで...なんで！なんでだ、巨人は敵、殺してやる！！お前ら全部..ぶっ殺して...

「A！！」

『！』

名前を呼ばれて、ハッとする

「俺の声が聞こえるか！！」

『...兵、長』

なんで...兵長がここにいるの
さっきまで壁際を伝ってたのに



「...」

『そうだ..ねぇ、兵長。団長は..』

僕、変なの見たんだ
団長がごめんなって謝って、馬で走る
そして...倒れる







『兵長』

どうして、何も言わないの
あれは夢だって...どうして言わないの









どうして...そんな顔、してるの









「A..獣の巨人をあと一歩、仕留め損ねた。アイツは壁内にいった。ハンジ達がまだいる...急いで追う」


『ねぇ、兵長』


「覚悟はしてた。そうだろ」


立ち上がって背中を向けた兵長の声が
酷く頭に児玉する


頭が...割れるように痛い





「調査兵団ってのは、そういう組織だ」






『...へい、ちょ』






「人類の為に、心臓を捧げよ。アイツはそう言った、アイツは...そう叫び新兵を導いた」









嫌...だ








「A、お前は記憶がぶっ飛んでる..俺は、それでいいと思ってるよ。だけどお前が知りたいなら、あの後を教えてやる......だがまあ、教えるまでもねぇと思うが..」




兵長がこっちを振り返った
いや、こっちじゃなく...向こうだ

背後の、壁外






僕もそれに釣られて視線を移した
その瞬間、言葉を失った



「泣くなよ。これがお前の選んだ道だ」




地面に倒れる人、人、人人人人

ひたすら...調査兵団が倒れてる
みんな原型はない

石つぶてに潰され、砕かれ...死んでいた






『ぁ..』





「アイツらの死は立派とは言えねぇ...泣くのは、今じゃねぇ......A、とりあえず行くぞ」









立体機動の音が聞こえて、兵長が消えた









巨人はみんな、死んでる
骨だけになって......だけど、さ


お前ら...それで割に合うって思ってんの？
お前らがさんざん食った奴等と合わせて

人類が、どれだけ死んだか、わかってんのか









獣の..巨人









あぁ...アイツ、ハンジさん達のところに
行ったんだっけ









『ハハッ..』









あぁ...もう、いいや本当







何もかもぶっ壊したい気分だ









フラリと立ち上がって、壁内に目を向ける
獣の中にいた人間が、ライナーを連れて逃げるところだった









逃がすと思ってんのかよ、殺人鬼め

『にがさねぇよ...どこにも』

“俺”は地面を蹴った

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