調査兵団、子育て中です (ページ29)

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勝者ページ29

sideエルヴィン

今更、
どの面下げてくるかと思えば..巫山戯てる

もう限界だ
話し合いの余地もなかった

あの子はやはり、私達が育てなければならない

父親「そうか...随分物分りが悪いようだな。私の力にかかれば、調査兵団など一捻りだ」

ほらな。最終的には脅しだ

「王族ともあろうお方が、調査兵団を人質に取るような真似をするとは思いませんでした」

父親「なりふり構っていられないのだよ。貴様らの様に、わざわざ壁外に赴き、餌食となっている馬鹿共とは違う。あの子は私に必要なんだ」

「彼等は馬鹿ではありません」

父親「そうか...まぁいい。とにかくあの子を返せ......Aなどという、穢らわしい名前はあの子に似合わん」

「私が温厚な男に見えているのなら、貴方の目はだいぶ節穴ですよ」

父親「聞いているのかね？スミス」

「まず、我々は貴方達人類の為に壁外調査に赴き、そして尊い命を捨てている。人類の為に、心臓を捧げている。だから馬鹿にしてもらっては困る。次に、AはAだ。あの子の名前を馬鹿にするな。最後に.....調査兵団を潰すと言ったが、潰したとして、自分達で身を守れるのか」

父親「ここは中心部だぞ？」

「そうやって意気揚々と安心している時ほど、奴等は狙ってくる。数年前と同じように..」

父親「何が言いたい」

Aの父親は初めて表情を変えた

「貴方より、私達のほうが手綱を握っている。
私達を潰せば人類は滅ぶ。壁も何時か壊されるでしょう...いつぞやの超大型巨人のように...憲兵団を宛にするのも別にいいと思いますが、奴等は壁の中で兵士として威張りくさっているだけの人間です。本物の巨人にあえば、役には立たないでしょうね」

折りたたむように言葉を継げば
眉を寄せて考え始めた

「貴方はAを必要と言いましたが...そんな事ないでしょう？」

父親「なんだと？」

「ではお聞かせください。どうして必要なのか」

父親「お前らこそ言え。何故渡さない」

「エレン・イェーガーと言う兵士をご存知ですか」

言うと父親は頷いた

「Aは彼と同様、人類の為には必要不可欠な存在です」

今のAは泣いたら巨人を呼べるに過ぎない
だがこの力を制御出来れば...

きっと光を与えてくれる

父親「...」

全てを話すと、父親はすっかり黙り込んだ
頭を抱え唸っている

しばらく待つとその顔をあげ言った

父親「..わかった。もういい...あの子は貴様らにやる」

言い方に憤りを覚えたが抑え、ポーカーフェイスで微笑んだ

「ありがとうございます」