56話 ページ25
「みなさんお疲れ様でしたあああ」
「うわきたなっ！鼻水だらけやんか！」
「だってええ…これでみなさんとお別れかと思うとおおお…」
ぼろぼろととめどなく流れるスキャターの涙は私達には眩しすぎる
結局のところ、彼女はまだまだ修行不足ということだろう
あんなにも綺麗な涙が流せるんだから
『ほらスキャター、あまり泣かないの』
「Aさああん…寂しいですうう…！」
ぎゅう、と抱き着いてくる彼女を受け止め頭を撫でる
この子私もヴィランズだって分かっててこんな隙だらけなのかしら
ミスターは彼女に危機感も学ばせた方がいいと思う
「離れろ寸胴、こいつは俺のだ」
「んぎゃぅ」
スキャターの顔面をほんのり紫の手が鷲掴み、乱暴に私から引き剥がす
カエルが潰れたような悲鳴と共に海の香りが私を包んだ
「well well …最後まで見せつけてくれるね」
「ほらほらお前たちそこまでだ
各々話したい事もあるだろうが、終わりの時間が迫っている
完全に魔法が解ける前に元の世界に帰らねば」
「お別れの挨拶も満足にさせてくれないんですのね、酷い方ですわ」
「そういう契約だからね
スキャター、皆の荷物を」
「ぐす…はいっ…」
いつの間に纏められたのだろう、大小様々な荷物をスキャターが次々と広間へ運んでくる
私達はもう、ここに用はないのだという実感が、ようやく湧いて来た気がした
まず荷物を手に取ったのはジャックハート
「じゃあみんな、いつかまた会う日まで」
『またね、ジャック』
「…うん、またね！美人なサメのお嬢さん」
そう言ってあっという間に去っていった彼に続いて、続々と荷物に手が伸びる
各々が短く挨拶を交わし、別れに向かって進んでいく
「A、タコに泣かされないようにな」
「おい優等生てめぇ」
「ふ、冗談だ」
『ふふ、じゃあねアップル』
「…あぁ、またいつか」
彼の背中が遠ざかり、見えなくなった
「Aさん、お約束覚えていてくださいね」
『もちろんよヴェール
いつか一緒に歌いましょうね』
「その時は是非聞かせてくれ」
『ええ、元気でねホック』
仲良く話しながら2人が去る
「サメちゃん！お幸せにぃ！」
『ふふ、ありがとう
スカー貴女もね』
「もっちろん！ダーリーン！！」
「くーるーなー！！
A！また一緒に昼寝しような」
『楽しみにしてるわ、ダルメシア』
慌ただしく去る2人の背中を、見えなくなるまで見守った
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うぐいす(プロフ) - ツクモさん» ツクモ様コメントありがとうございます！お返事遅くなり申し訳ありません…！！想像以上に続編希望のお声をいただき、始動させていただきました！よろしければご覧くださいませ！ (2018年12月3日 15時) (
レス) id: 0d9abb39c0 (このIDを非表示/違反報告)
ツクモ(プロフ) - 続編を希望です!!とても、いい話でした！ (2018年11月20日 1時) (レス) id: eb3706892f (このIDを非表示/違反報告)
うぐいす(プロフ) - にゃおさん» にゃお様コメントありがとうございます！楽しんでいただけて嬉しいです！続編のご希望も幸せです…！！にゃお様のご意見含めて検討させていただいてます！ (2018年11月17日 21時) (レス) id: 0d9abb39c0 (このIDを非表示/違反報告)
うぐいす(プロフ) - ステラさん» ステラ様コメントありがとうございます！私の夢を吐き出したこの作品で喜んでいただけたなら幸いです…！！ (2018年11月17日 21時) (レス) id: 0d9abb39c0 (このIDを非表示/違反報告)
うぐいす(プロフ) - くるるさん» くるちゃんコメントありがとう…！こちらこそいつも読んでくれた上にコメントまでくれて幸せでした！ありがとうございます！！ (2018年11月17日 21時) (レス) id: 0d9abb39c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うぐいす | 作成日時：2018年10月22日 13時
