一匹の悪役の話 (ページ6)

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3話ページ6

結局ミスターに抱き上げられたまま、なにやら怪しい外観の巨大な建物にまで連れてこられてしまった

「君以外のリクルーターはもう揃っていてね
君がきたら各々自己紹介を、と思っていたんだよ」

私を抱き上げたまま、扉の中に入るミスター
中にあったたくさんのボタンの１つを押すと、がこんという音と共に部屋が上へ動きだした
そっか、泳いで上へ行けないから…こういうものがなければいけないのね
それにしても…ちょっと不快な感覚…

チン

「さあ、一緒に働く仲間達とご対面だ！」

『！』

初めての感覚に戸惑っている間に目的地についたらしい
ミスターがもう片方の手を広げると、扉が開き目の前には大きな空間が広がった

きらびやかな照明とたくさんの絵
柔らかそうな大きな椅子、豪華な机
そして…椅子に腰かけたたくさんの人
その場全ての人の視線がこちらに向き、びくっと肩をゆらしてしまう

そんな私の挙動に気付いたからか、ミスターはこちらに顔を向けにっこりと微笑んだ

「大丈夫、君と同じ仲間だ」

１つだけあいていた椅子に私を下ろすと、ミスターはくるりと一回転し私達全員の顔を見渡す
そしてステッキをマイクのように構え、話し出した

「ようこそ、ヴィランズの手下のみなさん
すでに聞いていると思うが、これから君達には人間に対してリクルートを行なってもらうことになる
期間は今いるこのパークのハロウィン期間！
ここに訪れる人間達を、我々ヴィランズの世界へと誘惑することが君達の仕事だ

私の名前はMr.V、君達のまとめ役をさせてもらう
そしてこっちが…」

「Ms.スキャターです！！ヴィランズの世界に憧れて、Mr.Vの助手をさせていただいてます！」

いつのまにかミスターの隣にいた、灰色の服と赤いメガネの女性が元気よく挨拶をしてくれた
ミスターははいはい、と適当にスキャターをあしらうとまた私達にむかって微笑む

「それでは、こちらの紹介もすんだところで…君達の自己紹介にうつらせてもらおうかな」