一匹の悪役の話 (ページ28)

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24話ページ28

--------ダルメシアside--------

肉体の捜索はなかなか思うように進まなかった

パーク内は様々な匂いの人間がうろついているため、完全に鼻を頼った捜索はできない
加えて人混みのせいで移動が思うようにいかず、時間ばかり過ぎていく
朝から探してたっていうのに、もう日が沈み始めた
減っていく時間とは裏腹に、僕の苛立ちは増していった

「ダーリン！見つかった！？」

「まだだ！そっちは！？」

スカーが首を横に振る
ほんとに時間がない、早ければ今日にでも、マミは死んでしまう
せっかくできた僕の仲間
あの優しいマミの笑顔が、二度と見れなくなるなんて

ふざけるな、マミを殺させなんてしない
僕たちを邪魔する奴は噛み殺してやる

絶対に見つけ出す

殺気立った僕の真上からファージャが降り立った
Vの魔法で僕たちの姿は人間には見えていない

「パークの反対側に魔力の反応はない！
やっぱりおるとしたら、ホテル周辺や！」

「でも探せるところは全部探したじゃない！
あとどこ探せっていうのよー！」

「こっちが聞きたいわそんなん！なんかないんか、死角になってるとことか見落としてるとこ！」

「…死角になってるとこ…」

ぴたり、と動きを止める

魔力を感知できる僕達がいるのに、マミがこうなるまで気付けなかったのはなんでだ？
外から魔力を感知したら誰かしら気付くはずだろ

…外からではなく、僕達のそばからなら？

「わかった！！！」

僕の突然の大声に驚く2人を置いて駆け出す
あるじゃないか！僕達のそばにあって、何か隠せるようなもの！！

ホテルの裏手、リクルーティング前の控え室のような場所の扉を勢いよく入る
そのまま部屋の隅にある“それ”に近付き、戸を開ける

「…見つけた…！！」

僕が開けたのは、リクルーティング中に音楽を流すための“ワゴン”
一つだけ昨日から調子が悪く裏に片付けてあったやつだ

中にある配線の隙間に、ひどくぼろぼろな人形が見える
手で触れてみると微弱ではあるが異質な魔力と妙な匂いを感じた

間違いない
間に合った…！

「急に走るなやまったく…！…ん？」

「ダーリンそれ…人形？」

「これが肉体だ、魔力と変な匂いがついてる！
ファージャ早くV達に知らせて！」

「でかした犬！まかせとき！」

飛び立っていくファージャを見送り、スカーとホテルに向かって走り出す

あとは頼んだぞみんな…！